裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
昭和61(オ)329
- 事件名
水俣病認定業務に関する熊本県知事の不作為違法に対する損害賠償
- 裁判年月日
平成3年4月26日
- 法廷名
最高裁判所第二小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
破棄差戻
- 判例集等巻・号・頁
民集 第45巻4号653頁
- 原審裁判所名
福岡高等裁判所
- 原審事件番号
昭和58(ネ)452
- 原審裁判年月日
昭和60年11月29日
- 判示事項
一 公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法三条一項又は公害健康被害補償法(昭和六二年法律第九七号による改正前のもの)四条二項に基づき水俣病患者認定申請をした者が相当期間内に応答処分されることにより焦燥、不安の気持ちを抱かされない利益と法的保護の対象
二 右認定申請を受けた処分庁が不当に長期間にわたらないうちに応答処分をすべき条理上の作為義務に違反したといえるための要件
- 裁判要旨
一 公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法三条一項又は公害健康被害補償法(昭和六二年法律第九七号による改正前のもの)四条二項に基づき水俣病患者認定申請をした者が相当期間内に応答処分されることにより焦燥、不安の気持ちを抱かされないという利益は、内心の静穏な感情を害されない利益として、不法行為法上の保護の対象になる。
二 右認定申請を受けた処分庁には、不当に長期間にわたちないうちに応答処分をすべき条理上の作為義務があり、右の作為義務に違反したというためには、客観的に処分庁がその処分のために手続上必要と考えられる期間内に処分ができなかったことだけでは足りず、その期間に比して更に長期間にわたり遅延が続き、かつ、その間、処分庁として通常期待される努力によって遅延を解消できたのに、これを回避するための努力を尽くさなかったことが必要である。
- 参照法条
国家賠償法1条1項,公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法3条1項,公害健康被害補償法(昭和62年法律第97号による改正前のもの)4条2項
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