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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和61(オ)644

事件名

 子の引渡

裁判年月日

 昭和61年7月18日

法廷名

 最高裁判所第二小法廷

裁判種別

 判決

結果

 破棄差戻

判例集等巻・号・頁

 民集 第40巻5号991頁

原審裁判所名

 長崎地方裁判所

原審事件番号

 昭和60(人)3

原審裁判年月日

 昭和61年4月25日

判示事項

 一 意思能力のある子に対する監護が人身保護法及び同規則にいう拘束に当たるとされる場合
二 意思能力のある子がその自由意思に基づいて拘束者のもとにとどまつているとはいえない特段の事情があるとされた事例

裁判要旨

 一 子が意思能力を有していても自由意思に基づいて監護者のもとにとどまつているとはいえない特段の事情がある場合には、監護者の子に対する監護は、なお人身保護法及び同規則にいう拘束に当たる。
二 監護権を有しない者の監護下にある子が、現在、意思能力を有し、その監護に服することを受容するとともに、監護権を有する者の監護に服することに反対しているとしても、意思能力の全くない当時から引き続き監護権を有しない者の監護を受けてきたものであり、その間、右の監護者が、子の引渡を拒絶するとともに、監護権を有する者に対する嫌悪と畏怖の念を抱かざるをえないように教え込んできた結果、子が右のような意思を形成するに至つたときには、当該子が自由意思に基づいて監護権を有しない者のもとにとどまつているとはいえない特段の事情があるものというべきである。

参照法条

 人身保護法2条1項,人身保護規則3条,人身保護規則5条

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