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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和42(行ツ)61

事件名

 給与減額分支払請求、同反訴請求

裁判年月日

 昭和45年10月30日

法廷名

 最高裁判所第二小法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 民集 第24巻11号1693頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

 昭和36(ネ)814

原審裁判年月日

 昭和42年3月1日

判示事項

 一、賃金過払による不当利得返還請求権を自働債権としその後に支払われる賃金の支払請求権を受働債権としてする相殺と労働基準法二四条一項本文
二、公立学校の教員につき給与過払による不当利得返還請求権を自働債権としその後に支払われる給与の支払請求権を受働債権としてした相殺が労働基準法二四条一項本文の規定に違反し許されないとされた事例

裁判要旨

 一、賃金過払による不当利得返還請求権を自働債権とし、その後に支払われる賃金の支払請求権を受働債権としてする相殺は、過払のあつた時期と賃金の清算調整の実を失わない程度に合理的に接着した時期においてなされ、しかも、その金額、方法等においても労働者の経済生活の安定をおびやかすおそれのないものである場合にかぎり、労働基準法二四条一項本文による制限の例外として許される。
二、公立学校の教員らに対して昭和三三年一〇月および一二月に支給された給与中に最高一か月分給与の約二七・三。パーセント、最低同じく約三・八。パーセントに相当する金額の過払があり、右過払金の返還請求権を自働債権とし、同三四年三月二〇日に支給されるべき同月分の給与の支払請求権を受働債権として相殺がなされた場合、右相殺の遅れた主な原因が、その事務を担当していた県教育委員会事務局において、相殺をするかどうかまたはその法律上の可否、根拠等の調査研究等に相当の日時を費し、あるいは他の所管事務の処理に忙殺されていた点にあつたなど判示の事情があるにとどまるときは、右相殺は、いまだ労働基準法二四条一項本文の規定による制限の例外として許される場合にあたらない。

参照法条

 労働基準法24条1項本文,民法505条1項,地方公務員法25条1項

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