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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和51(オ)923

事件名

 損害賠償

裁判年月日

 昭和55年3月28日

法廷名

 最高裁判所第三小法廷

裁判種別

 判決

結果

 破棄差戻

判例集等巻・号・頁

 民集 第34巻3号244頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

 昭和47(ネ)2816

原審裁判年月日

 昭和51年5月19日

判示事項

 一 旧著作権法(明治三二年法律第三九号)三〇条一項二号にいう引用の意義
二 他人が著作した写真を改変して利用することによりモンタージュ写真を作成して発行した場合と著作者人格権の侵害
三 モンタージユ写真の作成発行が著作者人格権の侵害にあたるとされた事例

裁判要旨

 一 旧著作権法(明治三二年法律第三九号)三〇条一項二号にいう引用とは、紹介、参照、論評その他の目的で自己の著作物中に他人の著作物の原則として一部を採録することをいい、引用を含む著作物の表現形式上、引用して利用する側の著作物と、引用されて利用される側の著作物とを明瞭に区別して認識することができ、かつ、右両著作物間に前者が主、後者が従の関係があることを要する。
二 他人が著作した写真を改変して利用することによりモンタージュ写真を作成して発行した場合において、右モンタージュ写真から他人の写真における本質的な特徴自体を直接感得することができるときは、右モンタージュ写真を一個の著作物とみることができるとしても、その作成発行は、右他人の同意がない限り、その著作者人格権を侵害するものである。
三 雪の斜面をスノータイヤの痕跡のようなシュプールを描いて滑降して来た六名のスキーヤーを撮影して著作した判示のようなカラーの山岳風景写真の一部を省き、右シュプールをタイヤの痕跡に見立ててその起点にあたる雪の斜面上縁に巨大なスノータイヤの写真を合成して作成した判示のような白黒のモンタージユ写真を発行することは、右山岳風景写真の著作者の同意がない限り、その著作者人格権を侵害するものである。
(二につき補足意見がある。)

参照法条

 旧著作権法(明治32年法律第39号)18条,旧著作権法(明治32年法律第39号)30条1項2号,旧著作権法(明治32年法律第39号)36条ノ2

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