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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和54(オ)580

事件名

 従業員地位確認

裁判年月日

 昭和55年5月30日

法廷名

 最高裁判所第二小法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 民集 第34巻3号464頁

原審裁判所名

 大阪高等裁判所

原審事件番号

 昭和52(ネ)770

原審裁判年月日

 昭和54年2月27日

判示事項

 一 採用内定により労働契約の効力発生の始期を採用通知に示された採用の日とする解約権留保付労働契約が成立したものと認められた事例
二 留保解約権に基づく採用内定の取消が有効とされた事例

裁判要旨

 一 日本電信電話公社の社員公募に応じ、試験に合格して採用の日、配置先、採用職種及び身分を具体的に明示した採用通知を受けた者が、同公社からの求めに応じて被服号型報告表を提出し、入社懇談会に出席し、健康診断を受けたなどのことがあり、他方、同公社において、採用通知のほかには労働契約締結のための特段の意思表示をすることを予定していなかつたなど、判示の事実関係のもとにおいては、社員公募に対する応募は労働契約の申込であり、これに対する同公社の採用通知は右申込に対する承諾であつて、これにより、応募者と同公社との間に、労働契約の効力発生の始期を採用通知に示された採用の日とし、解約権を留保した労働契約が成立したものと認めるのが相当である。
二 日本電信電話公社が、社員としての採用を内定したのち、その者がD委員会の指導的地位にあつて、大阪市公安条例等違反の現行犯として逮捕され、起訴猶予処分を受ける程度の違法行為をしたことが判明したとして留保解約権に基づき採用内定を取り消すことは、解約権留保の趣旨、目的に照らして社会通念上相当として是認することができ、解約権の行使は有効である。

参照法条

 労働基準法第2章労働契約

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