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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和38(オ)48

事件名

 家屋収去土地明渡請求

裁判年月日

 昭和39年6月19日

法廷名

 最高裁判所第二小法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 民集 第18巻5号806頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

 昭和37年9月17日

判示事項

 一 二筆の土地を一括して賃借した場合に一筆の土地についての用方違反によつて二筆の土地全部の賃貸借契約を解除できるとされた事例。
二 堅固建物への改築が消防署の命によつた場合でも借地の用方違反の違法性は阻却されないとされた事例。

裁判要旨

 一 道路を隔てて存在する甲乙二筆の土地の賃借人が甲地上にその用方違反となるべき石油貯蔵庫を建築した場合において、右二筆の土地が一括して賃貸借の目的となつていて、賃借人としては右二筆の土地を石油類販売業のため総合的に利用しようとして右貯蔵庫を建築した等原審判示の事情(原判決理由参照)のもとでは、賃貸人は右用方違反を事由として甲乙二筆の土地全体について賃貸借契約を解除することができる。
二 借地の用方を主として貯炭場を設けるためと定め、建物の建築としては木造の小規模のものに限るとの特約のもとでなされた土地賃貸借契約において、賃借人が賃貸人の事前の明白な拒否にもかかわらず、借地上に石油類販売用のコンクリートブロツク造の堅固な石油貯蔵庫を建築することは、賃借物の用方違反をきたすものというべく、当該石油貯蔵庫の建築が消防署の命によつて従前の木造をコンクリートブロツク造に改めたという事情によるものであつても、右事情は用方違反の違法性を阻却する事由とはならない。

参照法条

 民法616条,民法549条1項

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