裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
昭和51(行ツ)49
- 事件名
選挙無効請求
- 裁判年月日
昭和51年9月30日
- 法廷名
最高裁判所第一小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
民集 第30巻8号838頁
- 原審裁判所名
東京高等裁判所
- 原審事件番号
昭和50(行ケ)127
- 原審裁判年月日
昭和51年2月25日
- 判示事項
一、選挙運動用ポスターの記載内容と選挙管理委員会の審査、規制の権限
二、選挙管理委員会委員長らが候補者に対しその選挙運動用ポスター記載の文言の抹消を求めた行為が選挙の自由公正を著しく阻害したとして選挙が無効とされた事例
- 裁判要旨
一、選挙管理委員会は、選挙運動用ポスターに記載された候補者の政見その他の主張に関係する文言については、その当否を審査し、その取消又は修正を命ずる権限を有しない。
二、市長選挙に際し、対立候補者である現職市長の行つている同和対策を批判する趣旨で「同和対策是か非か」という文言を選挙運動用ポスターに記載した候補者に対し、選挙管理委員会委員長らが右文言は同和対策事業特別措置浅の趣旨に反し穏当を欠くとしてその抹消を求めた場合において、右抹消要求が、単に右文言を抹消させるにとどまらず、候補者の同和対策批判の主張をも封殺しようとして、強硬かつ選挙民の思惑を顧みない方法でされたものであり、その結果、候補者は右文言中の「是か非か」の部分の抹消を余儀なくされ、残された「同和対策」の文言のみでは同和対策批判の主張の趣旨が不明確となつてしまい、また、候補者が右の主張をポスター以外の選挙運動の方法 選挙民に訴えるについても全く制約を受けなかつたとはいい切れないなど判示の事情があるときは、選挙の自由公正が著しく阻害されたものとして、選挙は無効となる。
- 参照法条
公職選挙法143条1項5号,公職選挙法147条,公職選挙法205条1項
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