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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和46(オ)503

事件名

 所有権移転登記抹消登記手続等請求

裁判年月日

 昭和49年10月23日

法廷名

 最高裁判所大法廷

裁判種別

 判決

結果

 破棄差戻

判例集等巻・号・頁

 民集 第28巻7号1473頁

原審裁判所名

 札幌高等裁判所

原審事件番号

 昭和44(ネ)310

原審裁判年月日

 昭和46年3月15日

判示事項

 一、金銭債権担保のため不動産について代物弁済予約又は売買予約等の形式をとる契約が締結され所有権移転請求権保全等の仮登記がされた場合における右契約の性質及び内容
二、いわゆる仮登記担保権者が清算義務を負う相手方
三、いわゆる仮登記担保権と競売手続との関係
四、いわゆる仮登記担保権の目的不動産に対し競売手続が開始されている場合における仮登記担保権者の仮登記の本登記手続又はその承諾請求の許否

裁判要旨

 一、債権者が、金銭債権の満足を確保するために、債務者との間にその所有の不動産につき、代物弁済の予約、停止条件付代物弁済契約又は売買予約により、債務の不履行があつたときは債権者において右不動産の所有権を取得して自己の債権の満足をはかることができる旨を約し、かつ、停止条件付所有権移転又は所有権移転請求権保全の仮登記をしたときは、その権利(いわゆる仮登記担保権)の内容は、当事者が別段の意思を表示し、かつ、それが諸般の事情に照らして合理的と認められる特別の場合を除いては、債務者に履行遅滞があつた場合に権利者が予約完結の意思を表示し、又は停止条件が成就したときは、権利者において目的不動産を処分する権能を取得し、これに基づいて、当該不動産を適正に評価された価額で確定的に自己の所有に帰せしめること又は相当の価格で第三者に売却等をすることによつて、これを換価処分し、その評価額又は売却代金等から自己の債権の弁済を得ることにあり、右評価額又は売却代金等の額が権利者の債権額を超えるときは、権利者は、右超過額を清算金として債務者に交付すべきものであると解するのが粗当である。
二、いわゆる仮登記担保権者が目的不動産の換価金につき清算義務を負うのは、債務者又は仮登記後に目的不動産の所有権を取得してその登記を経由した第三者に対してのみであつて、仮登記後に目的不動産を差し押えた債権者、これにつき抵当権の設定を受けた第三者等に対しては、仮登記担保権者は、直接の清算義務を負わない。
三、いわゆる仮登記担保権者は、民訴法六四八条四号又は競売法二七条四項四号に基づき、当該権利が仮登記担保権であること及び被担保債権とその金額を明らかにして競売裁判所に届け出る方法により、目的不動産の競売手続に参加して配当を受けることができる。
四、いわゆる仮登記担保権者がその権利の実行として訴訟により仮登記の本登記手続又はその承諾を請求する前に既に第三者の申立により目的不動産につき競売手続が開始されている場合には、右の請求をすることは、原則として許されない。
(二につき補足意見がある。)

参照法条

 民法369条,民法482条,民法556条,不動産登記法2条,不動産登記法7条2項,不動産登記法105条,不動産登記法146条,民訴法648条,競売法27条

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