裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
昭和24(れ)1694
- 事件名
物価統制令違反
- 裁判年月日
昭和26年11月15日
- 法廷名
最高裁判所第一小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第5巻12号2354頁
- 原審裁判所名
仙台高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和24年3月29日
- 判示事項
一 犯意の成立と違法の認識
二 物価統制令第三条第一項違反の罪につき犯罪後統制額が取引価格より高価に改正指定された場合と刑の廃止
- 裁判要旨
一 原判決は、弁護人の「当時被告人において進駐軍の許可があり違法でないものと信じていたものであるから、犯意を欠き罪とならないものである旨」の主張に対し、所論のごとく当時被告人は判示超過価格による精米の売買につき違法の認識を有しなかつたと断じながら右は通常人としての注意を著しく欠き判示超過価格による精米の売買が法律上許容されたものであると信じたことにつき明らかに過失があるものというべきであるから、被告人に犯意がなかつたものとして物価統制令違反の罪責を否定することは到底できないと説示したことは所論のとおりである。
しかし、犯意があるとするためには犯罪構成要件に該当する具体的事実を認識すれば足り、その行為の違法を認識することを要しないものである(昭和二四年(れ)第二二七六号同二五年一一月二八日第三小法廷判決刑事判例集四巻一二号二四六三頁、昭和二五年(れ)第一三三九号同年一二月二六日同小法廷判決同判例集二六二七頁以下参照)。
二 しかし、物価統制令四条に基き指定された統制額違反の犯罪については、行為当時の告示によるべきものである。従つて、犯罪当時の統制額を指定した告示がその後屡々改正され、行為当時の売渡価格よりも高価に指定されるに至つても、既に成立した犯罪の刑罰を廃止するものではないから、所論は採用し難い。
- 参照法条
刑法38条,物価統制令3条1項,旧刑訴法363条2号
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