裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
昭和29(オ)873
- 事件名
土地調整委員会の裁定取消請求
- 裁判年月日
昭和37年4月12日
- 法廷名
最高裁判所第一小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
民集 第16巻4号781頁
- 原審裁判所名
東京高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和29年7月7日
- 判示事項
一 土地調整委員会が鉱業権設定許可の当否を判断するについて許可後の鉱業監督的措置を期待することの可否
二 鉱業権の実施が公共の福祉を害しないとした土地調整委員会の認定が、実質的証拠に基づかないものとされた事例
- 裁判要旨
一 土地調整委員会が鉱業権設定許可の当否を判断するについて、鉱物の掘採によつて飲料用水源の枯渇するおそれが予見され、万一その害が実現すれば直接市民の生活に重大な影響を及ぼす事情にあるにかかわらず、右の害を防止し得ることを具体的に論証するとか一部区域を除外して許可する余地がないかどうかを検討する等十分な考慮をはらうことなく、単に事後における監督的措置のみを期待して許可を正当とすることは違法である。
二 鉱業出願許可取消の裁定申請事件において、鉱区内の岩山の半分を掘り尽すことによつて附近住民の唯一の飲料用水源が枯渇しないと断定し得る資料に乏しいのに、土地調整委員会が、右の資料のほか、将来における掘採計画や監督権の発動による掘採制限等の行政措置を勘案して、鉱業権の実施により公共の福祉が害されることはないとした認定は、土地調整委員会設置法第五二条にいわゆる実質的証拠に基づくものとはいえない。
- 参照法条
鉱業法(昭和28年7月法律57号による改正前)35条,土地調整委員会設置法52条,土地調整委員会設置法54条
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