裁判例検索

裁判例結果詳細

最高裁判所判例集

事件番号

 昭和30(オ)159

事件名

 売掛代金請求

裁判年月日

 昭和32年3月5日

法廷名

 最高裁判所第三小法廷

裁判種別

 判決

結果

 その他

判例集等巻・号・頁

 民集 第11巻3号395頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

 昭和29年10月29日

判示事項

 一 商法第四二条による表見支配人の権限の範囲
二 商法第四二条、第三八条にいう「営業ニ関スル行為」と民法第七一五条の「事業ノ執行ニ付キ」なされた行為との異同

三 所有権侵害の故意と特定人に対する所有権侵害の認識の要否。

裁判要旨

 一 商法第四二条により表見支配人の権限に属する「営業ニ関スル行為」には、営業の目的たる行為の外、営業のため必要な行為をも含むと解すべきであつて、営業のため必要な行為にあたるか否かは、当該行為につき、その行為の性質の外、取引の数量をも勘案し、その営業のため必要か否かを客観的に観察してこれを決すべきである。
二 支店長のなした特定の行為が、商法第四二条、第三八条にいう「営業ニ関スル行為」にあたらないことを理由として、直ちに民法第七一五条にいわゆる「事業ノ執行ニ付キ」なされた行為にもあたらないと断定することは違法である。
三 不法行為者に所有権侵害の故意があるというためには、特定人の所有権を侵害する事実につき認識のあることを要するものではなく、単に他人の所有権を侵害する事実の認識があれば足りる。

参照法条

 商法42条,商法38条,民法715条,民法709条

全文