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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和30(オ)29

事件名

 約束手形金請求

裁判年月日

 昭和32年7月16日

法廷名

 最高裁判所第三小法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 民集 第11巻7号1254頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

 昭和29年12月27日

判示事項

 一 請求の基礎に変更のない一事例
二 被用者の手形偽造行為と使用者の責任

裁判要旨

 一 原告が初め、約束手形を裏書によつて取得し、現にこれを所持する者として、振出人たる被告会社に対し、手形金の支払を求めたが、後に予備的に、右手形が被告会社の被用者甲が偽造したものであるとすれば、原告は甲が被告会社の事業の執行につきなした行為により、手形割引金相当の損害を受けたものとして、その賠償を求めたとしても、請求の基礎に変更はない。
二 甲が会社の経理課長として、会社の手形振出に関し、会社の社印その他のゴム印を使用して、代表取締役がその名下にその印章を押捺しさえすれば、該手形が完成するばかりに手形を作成し、かつ、手形をその受取人に交付する職務権限を有していたところ、甲はその権限を濫用し、約束手形用紙に会社名および会社代表者乙名の各ゴム印並びに会社印押捺し、乙名下に同人の印鑑を、同人の不在中同人の机の抽斗から盗み出し押捺して、手形を偽造し、これを行使することによつて第三者に損害を加えたときは、甲の手形偽造行為は、会社の事業の執行につきなされたものとして、会社においてその損害を賠償する責に任ずるものと解すべきである。

参照法条

 民訴法232条,民法715条

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