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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和43(オ)232

事件名

 譲受代金支払並びに物件引渡請求

裁判年月日

 昭和47年3月9日

法廷名

 最高裁判所第一小法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 集民 第105号269頁

原審裁判所名

 名古屋高等裁判所

原審事件番号

 昭和41(ネ)380

原審裁判年月日

 昭和42年12月21日

判示事項

 実質上の株主が一人である株式会社において法定の選任手続を経ないまま代表取締役として行動してきた右株主が会社を代表してした会社の債権譲渡行為につき法人格否認の法理の適用によりその効力を認めた事例

裁判要旨

 甲株式会社の株主のうち乙を除く者はすべて乙に株主の名義を貸与しているにすぎず、実質上の株主は乙一人であり、会社役員もまた乙のために役員の名義を貸与しているにすぎず、そのため同会社では株主総会が開かれたこともないのに、乙がその代表取締役として行動してきたという事情のもとにおいては、甲会社は、株式会社の形態をとってはいても、実質は乙の個人企業と異なるところはなく、甲会社すなわち乙個人であって、甲会社の名をもって丙との間にされた取引上の債権は、実質上、乙個人の債権と解することができ、乙が、法定の代表取締役の選任手続を経ていないにもかかわらず、甲会社の代表取締役名義をもってした第三者丁に対する右債権の譲渡行為および債務者丙に対するその旨の通知行為は、実質上の権利の帰属者のした行為としてその効力を生じ、丙は、譲渡の効果を争うことはできないものと解すべきである。

参照法条

 民法33条,商法52条,商法261条

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