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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和40(オ)488

事件名

 家屋明渡請求

裁判年月日

 昭和44年6月24日

法廷名

 最高裁判所第三小法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 集民 第95号557頁

原審裁判所名

 大阪高等裁判所

原審事件番号

 昭和38(ネ)351

原審裁判年月日

 昭和39年12月25日

判示事項

 一、民法一一〇条にいう「正当ノ理由ヲ有セシトキ」の意義
二、民法一一〇条にいう「正当ノ理由」がないとされた事例

裁判要旨

 一、民法一一〇条にいう「正当ノ理由ヲ有セシトキ」とは、無権代理行為がされた当時存した諸般の事情を客観的に観察して、通常人において右行為が代理権に基づいてされたと信ずることについて過失がないといえる場合をいう。
二、甲から家屋を賃借した乙が、甲の代理人として右家屋の賃料の取立および受領の権限を有するにすぎない丁の承諾を得て、丙に対しその賃借権を譲渡した場合において、丙が、乙から右承諾を得た旨を聞知し、これによつて、甲の承諾を得たものと信じたとしても、容易に甲または丁より丁には右承諾をする権限がないことを知り得たにもかかわらず、丁の右権限の有無について調査をしなかつた等判示の事情があるときは、丙が、たやすく丁に右承諾の代理権があると信じたことは、その過失に基づくものであつて、甲は、丁のした右承諾について表見代理の責に任ずるものではない。

参照法条

 民法110条

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