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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和24(れ)2552

事件名

 麻薬取締法違反

裁判年月日

 昭和26年1月30日

法廷名

 最高裁判所第三小法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 集刑 第39号869頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

 昭和24年8月9日

判示事項

 一 昭和二〇年一一月二〇日厚生省第四四号第一条が禁止する塩酸ヂアセチルモルヒネの処分行為
二 刑罰法規の認識の有無について特に判示することの要否

裁判要旨

 一 右厚生省令第一条は、「塩酸ヂアセチルモルヒネ及其ノ一切ノ製剤ハ之ヲ所有、使用、破棄、贈与、受贈、分配又ハ輸送スルコトヲ得ズ」と規定しているのであるから、同条は右薬品およびその一切の製剤の所有や使用ばかりでなく、すべての処分行為をも禁止している趣旨であること明らかである。されば、その処分行為は有償であると無償であると営利の目的であると否と、不特定人に対するものであると否と、多人数に対するものであると否とを問わず、禁止するもの解すべきである。それゆえ、被告人の所為がたとえ所論のように営利の目的がはくまた特定の友人を相手とするものであつたとしても、犯示所為は、まさに同省令第一条所定の「販売」に該当するものであることは明らかである。
二 有罪判決をするには、罪となるべき事実および証拠によりこれを認た理由を説明し、法令の適用を示せば足りるのである。そして被告人が当該禁止規定のあることを知りながら犯行をしたか否かは、罪となるべき事実に属しないから、特にこれを判示する必要はない。

参照法条

 昭和20年11月20日厚生省44号1条,刑法38条3項,旧刑訴法360条1項

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