裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
平成23(許)21
- 事件名
株式買取価格決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
- 裁判年月日
平成24年2月29日
- 法廷名
最高裁判所第二小法廷
- 裁判種別
決定
- 結果
破棄差戻
- 判例集等巻・号・頁
民集 第66巻3号1784頁
- 原審裁判所名
東京高等裁判所
- 原審事件番号
平成22(ラ)781
- 原審裁判年月日
平成23年3月1日
- 判示事項
1 株式移転完全子会社の反対株主がした株式買取請求に係る「公正な価格」の意義
2 株式移転における株式移転設立完全親会社の株式等の割当てに関する比率が公正なものとされる場合
3 株式移転完全子会社の反対株主がした株式買取請求に係る「公正な価格」を算定するに当たって参照すべき市場株価として,株式買取請求がされた日における市場株価やこれに近接する一定期間の市場株価の平均値を用いることが,裁判所の裁量の範囲内にあるとされる場合
- 裁判要旨
1 株式移転完全子会社の反対株主がした株式買取請求に係る「公正な価格」は,原則として,株式移転により組織再編による相乗効果その他の企業価値の増加が生じない場合には,当該株式買取請求がされた日における,株式移転を承認する旨の株主総会決議がされることがなければその株式が有したであろう価格をいうが,それ以外の場合には,株式移転計画において定められていた株式移転設立完全親会社の株式等の割当てに関する比率が公正なものであったならば当該株式買取請求がされた日においてその株式が有していると認められる価格をいう。
2 相互に特別の資本関係がない会社間において,株主の判断の基礎となる情報が適切に開示された上で適法に株主総会で承認されるなど一般に公正と認められる手続により株式移転の効力が発生した場合には,当該株主総会における株主の合理的な判断が妨げられたと認めるに足りる特段の事情がない限り,当該株式移転における株式移転設立完全親会社の株式等の割当てに関する比率は公正なものである。
3 株式移転計画に定められた株式移転設立完全親会社の株式等の割当てに関する比率が公正なものと認められる場合には,株式移転により企業価値の増加が生じないときを除き,株式移転完全子会社の反対株主がした株式買取請求に係る「公正な価格」を算定するに当たって参照すべき市場株価として,株式買取請求がされた日における市場株価やこれに近接する一定期間の市場株価の平均値を用いることは,裁判所の合理的な裁量の範囲内にある。
(1〜3につき補足意見がある。)
- 参照法条
(1〜3につき)会社法773条1項6号,(1,3につき)会社法806条1項,会社法807条2項
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