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最高裁判所判例集

事件番号

 平成22(受)2355

事件名

 共有物分割等請求事件

裁判年月日

 平成25年11月29日

法廷名

 最高裁判所第二小法廷

裁判種別

 判決

結果

 その他

判例集等巻・号・頁

 民集 第67巻8号1736頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

 平成21(ネ)4717

原審裁判年月日

 平成22年8月31日

判示事項

 1 共有物について遺産共有持分と他の共有持分とが併存する場合における共有物分割と遺産分割の関係
2 遺産共有持分の価格を賠償させる方法による共有物分割の判決がされた場合に支払われる賠償金の性質とその支払を受けた者の保管義務
3 遺産共有持分の価格を賠償させる方法による共有物分割の判決において賠償金の支払等に関し命じ得る事項

裁判要旨

 1 共有物について,遺産共有持分と他の共有持分とが併存する場合,共有者が遺産共有持分と他の共有持分との間の共有関係の解消を求める方法として裁判上採るべき手続は民法258条に基づく共有物分割訴訟であり,共有物分割の判決によって遺産共有持分を有していた者に分与された財産は遺産分割の対象となり,この財産の共有関係の解消については同法907条に基づく遺産分割によるべきである。
2 遺産共有持分と他の共有持分とが併存する共有物について,遺産共有持分を他の共有持分を有する者に取得させ,その価格を賠償させる方法による分割の判決がされた場合には,遺産共有持分を有していた者に支払われる賠償金は,遺産分割によりその帰属が確定されるべきものであり,賠償金の支払を受けた者は,遺産分割がされるまでの間これを保管する義務を負う。
3 裁判所は,遺産共有持分を他の共有持分を有する者に取得させ,その価格を賠償させてその賠償金を遺産分割の対象とする方法による共有物分割の判決をする場合には,その判決において,遺産共有持分を有していた者らが各自において遺産分割がされるまで保管すべき賠償金の範囲を定めた上で,同持分を取得する者に対し,各自の保管すべき範囲に応じた額の賠償金を支払うことを命ずることができる。

参照法条

 (1〜3につき) 民法258条, 民法907条

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