裁判例結果詳細
最高裁判所判例集
- 事件番号
平成24(受)908
- 事件名
損害賠償等請求及び独立当事者参加事件
- 裁判年月日
平成26年6月5日
- 法廷名
最高裁判所第一小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
破棄自判
- 判例集等巻・号・頁
民集 第68巻5号462頁
- 原審裁判所名
名古屋高等裁判所
- 原審事件番号
平成22(ネ)1409
- 原審裁判年月日
平成24年1月31日
- 判示事項
再生債務者が支払の停止の前に再生債権者から購入した投資信託受益権に係る再生債権者の再生債務者に対する解約金の支払債務の負担が,民事再生法93条2項2号にいう「前に生じた原因」に基づく場合に当たらず,上記支払債務に係る債権を受働債権とする相殺が許されないとされた事例
- 裁判要旨
再生債務者Xが,その支払の停止の前に,投資信託委託会社と信託会社との信託契約に基づき設定された投資信託の受益権をその募集販売委託を受けた再生債権者Yから購入し,上記信託契約等に基づき,上記受益権に係る信託契約の解約実行請求がされたときにはYが上記信託会社から解約金の交付を受けることを条件としてXに対してその支払債務を負担することとされている場合において,次の(1)~(3)など判示の事情の下では,Yがした債権者代位権に基づく解約実行請求により,Yが,Xの支払の停止を知った後に上記解約金の交付を受け,これにより上記支払債務を負担したことは,民事再生法93条2項2号にいう「支払の停止があったことを再生債権者が知った時より前に生じた原因」に基づく場合に当たるとはいえず,Yが有する再生債権を自働債権とし上記支払債務に係る債権を受働債権とする相殺は許されない。
(1) 上記解約実行請求は,YがXの支払の停止を知った後にされた。
(2) Xは,Yの振替口座簿に開設された口座で振替投資信託受益権として管理されていた上記受益権につき,原則として自由に他の振替先口座への振替をすることができた。
(3) Yが上記相殺をするためには,他の債権者と同様に,債権者代位権に基づき, Xに代位して上記解約実行請求を行うほかなかったことがうかがわれる。
- 参照法条
民事再生法93条1項3号,民事再生法93条2項2号
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