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最高裁判所判例集

事件番号

 平成27(あ)741

事件名

 業務上過失致死傷被告事件

裁判年月日

 平成29年6月12日

法廷名

 最高裁判所第二小法廷

裁判種別

 決定

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 刑集 第71巻5号315頁

原審裁判所名

 大阪高等裁判所

原審事件番号

 平成25(う)1335

原審裁判年月日

 平成27年3月27日

判示事項

 曲線での速度超過により列車が脱線転覆し多数の乗客が死傷した鉄道事故について,鉄道会社の歴代社長らに業務上過失致死傷罪が成立しないとされた事例

裁判要旨

 快速列車の運転士が制限速度を大幅に超過し,転覆限界速度をも超える速度で同列車を曲線(本件曲線)に進入させたことにより同列車が脱線転覆し,多数の乗客が死傷した鉄道事故について,同事故以前の法令上,曲線に自動列車停止装置(ATS)を整備することは義務付けられておらず,大半の鉄道事業者は曲線にATSを整備していなかったこと,同列車を運行する鉄道会社の歴代社長らが,管内に2000か所以上も存在する同種曲線の中から,特に本件曲線を脱線転覆事故発生の危険性が高い曲線として認識できたとは認められないこと等の本件事実関係(判文参照)の下では,歴代社長らにおいて,ATS整備の主管部門を統括する鉄道本部長に対しATSを本件曲線に整備するよう指示すべき業務上の注意義務があったとはいえない。
(補足意見がある。)

参照法条

 刑法(平成18年法律第36号による改正前のもの)211条1項前段

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