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高等裁判所 判例集

事件番号

 昭和25(行ナ)21

事件名

 公正取引委員会審決取消請求事件

裁判年月日

 昭和26年9月19日

裁判所名・部

 東京高等裁判所  第三特別部

結果

 棄却

高裁判例集登載巻・号・頁

 第4巻14号497頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

 一、 実質的証拠の意義
二、 営業の賃借
三、 映画興業の一定の取引分野
四、 競争の実質的制限

裁判要旨

 一、 審決の事実認定が、審決の援用する証拠によつて、理性ある人が合理的に考えれば、結局到達するところのものであるときは、その事実は実質的証拠によつて立証されたものである。
二、 契約書に共同経営という語を用い、また経営の方針は契約当事者甲乙双方の協議決定することとなつていても、甲は経営上の経費一切を負担して直接経営に任じ、その対価として乙に無利息金融をなし、かつ収益の一割五分を与えるという関係にある場合は、営業の賃貸借の一態様とみるべきである。
三、 映画館の多数がある地域に近接して存在するときは、おのずからその地域に集合する観客群を生じ、これらの観客群は通常この地域内でそれぞれ映画館を選訳して入場することとなり、この地域の興行者はこの観客群を共通の対象とすることになり、そこに一定の取引分野が形成される。
四、 競争の実質的制限とは、競争自体が減少して特定の事業者または事業者集団が、その意思で、ある程度自由に、価格、品質数量、その他各般の条件を左右することによつて市場を支配することができる形態が現われているか、または少くとも現われようとする程度に至つている状態を指すものである。

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