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高等裁判所 判例集

事件番号

 平成23(う)1947

事件名

 住居侵入,強盗強姦未遂,強盗致傷,強盗強姦,監禁,窃盗,窃盗未遂,強盗殺人,建造物侵入,現住建造物等放火,死体損壊被告事件

裁判年月日

 平成25年10月8日

裁判所名・部

 東京高等裁判所  第10刑事部

結果

 破棄自判

高裁判例集登載巻・号・頁

 第66巻3号42頁

原審裁判所名

 千葉地方裁判所

原審事件番号

 平成21(わ)2832

判示事項

 殺害された被害者が1名の強盗殺人等の事案につき,被告人が短期間に強盗致傷や強盗強姦という重大事件を複数回犯したことなどの事情を考慮して被告人を死刑に処した原判決が量刑不当として破棄された事例

裁判要旨

 被告人は,強盗殺人等の事件のほか強盗致傷や強盗強姦等を犯したものであるが,量刑判断の中心となる強盗殺人等の事件について,殺害態様が執拗で冷酷非情であり放火も危険性の高い悪質な犯行であること,結果も重大であることを十分に考慮しても,殺害された被害者が1名であり殺害行為に計画性を認めることができないことを踏まえると,死刑を選択することが真にやむを得ないとはいえず,被告人が短期間に強盗致傷や強盗強姦という重大事件を複数回犯したことや粗暴な性格傾向が著しいことなどの原判決が指摘する特有の事情に関しても,本件強盗殺人等の事件以外には前科も含めて殺意を伴う犯行はなく,法定刑に死刑が含まれる多くの犯罪にみられるような人の生命を奪って自己の利欲等の目的を達成しようとした犯行ではないことなどを考慮すると,上記特有の事情があることを理由として死刑を選択し得るとした原判決の判断は合理性のある評価とはいえず,無期懲役刑と死刑という質的に異なる刑の選択に誤りがある。

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