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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成15(行ウ)246

事件名

 所得税更正処分取消請求事件

裁判年月日

 平成16年9月17日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 日本国内に住所を有する居住者であって,カナダの法人の株主である納税者が,同法人から他の外国法人の株式の分配を受けたことによる株式取得が配当所得に当たるとしてされた所得税の更正処分は,「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とカナダ政府との間の条約」に違反するなどとしてした前記処分の取消請求が,棄却された事例

裁判要旨

 日本国内に住所を有する居住者であって,カナダの法人の株主である納税者が,同法人から他の外国法人の株式の分配を受けたことによる株式取得が配当所得に当たるとしてされた所得税の更正処分は,「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とカナダ政府との間の条約」に違反するなどとしてした前記処分の取消請求につき,租税条約は,国際二重課税回避の方法として,基本的には,相手国の居住者であって,自国の非居住者であるものに対する自国の課税権を条約に基づいて制限する形で締結されるものであるから,原則として,自国の居住者に対して適用される国内租税法を修正しようとするものではなく,条約に別段の定めがない限り,締結国には,自国の居住者に対し国内租税法に従って課税する権利が留保される(いわゆるセービング・クローズ)ことになるとした上,前記条約は,セービング・クローズについて明文の規定を設けており,前記株式取得が配当取得に該当するとして課税することについて前記条約が制限しているものではなく,課税が前記条約に違反しないことは明らかであるなどとして,前記請求を棄却した事例

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