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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成14(行ウ)482

事件名

 課税処分取消請求事件

裁判年月日

 平成16年1月30日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 利用者に高額の保証金を納入させた上で区分所有建物の専有部分を使用,収益させることを内容とするいわゆる保証マンションの利用権設定契約に基づく利用権が第三者に譲渡された場合の譲渡益について,前記利用権は,租税特別措置法(平成14年法律第15号による改正前)31条1項の定める「土地の上に存する権利」及び「建物」に当たらないとして,同項の長期譲渡所得の課税の特例を適用しないでされた所得税更正処分が適法とされた事例

裁判要旨

 利用者に高額の保証金を納入させた上で区分所有建物の専有部分を使用,収益させることを内容とするいわゆる保証マンションの利用権設定契約に基づく利用権が第三者に譲渡された場合の譲渡益について,前記利用権は,租税特別措置法(平成14年法律第15号による改正前)31条1項の定める「土地の上に存する権利」及び「建物」に当たらないとして,同項の長期譲渡所得の課税の特例を適用しないでされた所得税更正処分につき,同条及び同法(平成16年法律第14号による改正前)32条が土地建物等の譲渡所得について分離課税の特例を定めている趣旨は,個人が長期間にわたって保有している土地について,切り売りや売り惜しみを防止して,土地の供給を促進するとともに,短期間で売却される投機的な土地取引を抑制することによって土地の受給の不均衡を解消することを目的としたものであることに照らすと,同項所定の「土地の上に存する権利」とは,地上権若しくは土地賃借権のように土地を直接利用することを内容とする権利又は地役権のように一定の土地の利用価値を増すために他の土地上に支配を及ぼす権利を指すところ,前記利用権がそのような性質を有する権利であるとは認められず,また,前記契約は,前記利用者に対し期間を定めて前記専有部分を使用収益させる対価として前記利用者に納入させた高額の保証金の運用益を賃料相当額として取得することを内容とするものと認めることができるから,前記利用権は,建物賃借権ないしこれに類するものと認めるのが相当であって,建物所有権に準ずる権利として取り扱われるべきであるとはいえず,同項所定の「建物」にも当たらないから,前記譲渡に係る所得は,同項所定の分離長期譲渡所得には当たらず,前記特例が適用される余地はないとして,前記処分を適法とした事例

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