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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成12(行ウ)191

事件名

 所得税更正処分等取消請求事件

裁判年月日

 平成15年12月12日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 土地の明渡しを求められた者が,裁判上の和解に基づき前記土地を取得して第三者に売却して得た所得に対して,税務署長が,当該所得は分離課税の短期譲渡所得に当たるとしてした所得税の更正処分が,一部取り消された事例 
2 裁判所の訴訟指揮に従って提出された予備的主張が,時機に遅れたものとはいえないとされた事例

裁判要旨

 1 土地の明渡しを求められた者が,裁判上の和解に基づき前記土地を取得して第三者に売却して得た所得に対して,税務署長が,当該所得は分離課税の短期譲渡に当たるとしてした所得税の更正処分につき,和解において形成された法律関係を考えるに当たっては,紛争の性質,内容及び和解に至った経緯についても十分考慮に入れて当事者の合理的意思を認定すべきであるとした上,前記和解は,和解当事者双方が客観的な時価と認識していた代金請求権と,立退料支払請求権とが対当額で相殺され,その残額のみが前記土地の代金額として和解調書に記載されたものであり,したがって,前記第三者に対する土地の売却により譲渡益が生じたとはいえず,前記客観的な時価と代金額の差額は立退料としての性質を有しているため,前記和解により得た所得は一時所得であるとして,前記更正処分を一部取り消した事例 
2 裁判所の訴訟指揮に従って提出された予備的主張について,行政事件訴訟では,当事者が実質的にみて対等な立場にあるとは考えられず,しかも,原告の訴訟活動が不十分なため誤った行政処分が放置されること自体が公益に反するというべきであるから,裁判所としては,一般民事訴訟以上に当事者が適切な主張を行うように意を用いるべきものと考えられ,裁判所が釈明を行い,その結果,前記のような予備的主張がされたとしても,裁判所の訴訟指揮に問題はないし,当該予備的主張の提出が時機に遅れたものともいえないとした事例

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