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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成14(行ウ)271

事件名

 行政文書不開示決定に対する異議申立て棄却処分取消請求事件

裁判年月日

 平成14年12月25日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 帰化許可の申請を受け付け,調査等を行う機関である法務局等の長に対して発出された法務省民事局通達であり,調査に関する指示内容を詳細かつ具体的に記載したものである「帰化事件処理要領」が,行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成13年法律第140号による改正前)5条6号所定の非開示事由(事務事業情報)に該当するとされた事例

裁判要旨

 帰化許可の申請を受け付け,調査等を行う機関である法務局等の長に対して発出された法務省民事局通達であり,調査に関する指示内容を詳細かつ具体的に記載したものである「帰化事件処理要領」につき,帰化を許可するか否かの判断は法務大臣の広範な自由裁量にゆだねられているものと解され,法務大臣が裁量権を行使して帰化の許否について適正に判断を行うためには,広範な基礎資料を収集し,正確な事実を把握することが必要不可欠であるというべきであるところ,帰化事件処理要領が開示された場合には,法務大臣が帰化の許否を判断するために必要な帰化条件の具備の有無などについて調査する機関である法務局又は地方法務局における調査の対象,実施時期,手順などの調査方法,調査事項,調査上の留意点などが一般に公となり,その結果,不正な手段を用いてでも日本国籍を得ようとする者が,虚偽の供述をしたり,自己に不利益となる事実を隠ぺいしたり,関係者と通謀したりすることが容易になり,正確な事実認定の基礎資料を収集することが困難になって,法務大臣の帰化許否についての適正な判断に支障をきたす事態が生じることは十分に予想できるところであり,帰化の許否についての判断を誤った場合には,犯罪者等の素行不良者など我が国にとって好ましくない人物に対して日本国籍を付与することになり,我が国の安全や秩序の維持に重大な影響を及ぼすおそれがあるというべきであるから,帰化事件処理要領は,国が行う帰化許否事務に関する情報であって,公にすることにより,当該事務の性質上,帰化許否事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものと認められるとして,行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成13年法律第140号による改正前)5条6号所定の非開示事由(事務事業情報)に該当するとした事例

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