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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成13(行コ)94

事件名

 法人税更正処分等取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成9年(行ウ)第260号)

裁判年月日

 平成14年3月14日

裁判所名

 東京高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 住宅金融専門会社の母体行であった銀行が,解除条件付きで行った同社に対する貸付債権の放棄について,同債権相当額をその意思表示のあったときを含む事業年度の損金の額に算入した青色確定申告に対し,同債権相当額は当該事業年度の損金の額に算入することができないとしてした法人税の更正処分が,適法とされた事例

裁判要旨

 住宅金融専門会社の母体行であった銀行が,同社に対する貸付債権を,その年の末日までに解散の登記がなされることを解除条件として放棄し,同債権相当額をその意思表示のあったときを含む事業年度の損金の額に算入した青色確定申告に対し,同債権相当額は当該事業年度の損金の額に算入することができないとしてした法人税の更正につき,不良債権を貸倒れであるとして直接償却を行うためには,全額が回収不能である場合でなければならず,また,全額回収不能の事実が客観的に認知し得た時点の事業年度において損金の額に算入すべきものであるとした上,当時の前記会社の客観的な財務状況に鑑みると,未だ前記債権が全額回収不能であったとはいえず,また,債務者に責任財産がありながら権利行使に対する社会的批判等を考慮して債権者が債権を行使しないことをもって前記債権が全額回収不能であったということはできないとし,さらに,前記のような解除条件付きの債権放棄に基づく損金算入時期を,当該意思表示のされたときの属する事業年度とすることは,法人の都合で損金計上時期を人為的に操作することを許容するものであって,一般に公正妥当な会計処理の原則に適合しないし,ある損金をどの事業年度に計上するかは,収益と同様,その損金が確定したときの属する事業年度に計上すべきであり,解除条件付きでされた債権放棄によって生じる損金は,当該条件の不成就が確定したときの属する年度,すなわち翌事業年度に計上すべきものというべきであるとして,原判決を取り消し,前記更正処分を適法とした事例

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