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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成7(行ウ)4

事件名

 所得税青色申告承認取消処分取消請求事件

裁判年月日

 平成12年2月25日

裁判所名

 京都地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 帳簿書類の提示の拒否と青色申告の承認の取消の可否 2 帳簿書類の提示の拒否を理由としてした青色申告承認取消処分が,違法とされた事例

裁判要旨

 1 所得税法150条1項1号が定める青色申告承認取消事由には,青色申告者が帳簿書類の提示を拒否したため,その備付け,記録又は保存が正しく行われているか否かを課税庁が確認することができない場合も含まれると解されるが,同承認取消処分は,その承認を受けていた納税義務者の種々の特典を剥奪する不利益処分であるうえ,前記取消事由は法規上明文をもっては規定されていないことに照らすと,その認定に当たっては一定の慎重さが要求されるというべきであるから,課税庁の行う調査の全過程を通じて,課税庁が帳簿書類の備付け状況等を確認するために社会通念上当然に要求される程度の努力を行ったにもかかわらず,その確認を行うことが客観的にみてできなかったと考えられる場合に前記取消事由の存在が肯定される。 2 帳簿書類の提示の拒否を理由としてした青色申告承認取消処分につき,国税調査官らが当初の調査の過程において,任意調査として許容される限度を著しく逸脱した重大な違法行為を行ったことが認められ,そのような違法行為を行い,社会通念上納税義務者の協力を期待し得ない状態を作り出した課税庁には,以後の税務調査に際して,前記違法とされる事実関係を調査し,これを相手方に説明するなど誠実に対応し,前記違法行為がされる以前の調査に対する協力を期待し得る状態に回復する努力をすることが要求されるというべきであり,そのような誠実な対応をなさないまま臨場を重ね,帳簿書類の提示を求めたとしても,帳簿書類の備付け状況等の確認を行うために社会通念上当然要求される程度の努力を尽くしたものということはできないとして,前記処分を違法とした事例

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