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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成11(行コ)68

事件名

 無申告加算税賦課決定処分取消請求控訴事件(原審・静岡地方裁判所平成9年(行ウ)第24号)

裁判年月日

 平成11年9月29日

裁判所名

 東京高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 法定申告期限後に申告された地価税について課された無申告加算税の賦課決定処分につき,同期限内に地価税の予納がされていたことにより同賦課決定処分が違法であるとしてした同処分の取消請求が,棄却された事例 2 国税通則法66条3項所定の「調査があつたことにより当該国税について更正又は決定があるべきことを予知してされたものでないとき」の意義

裁判要旨

 1 法定申告期限後に申告された地価税について課された無申告加算税の賦課決定処分について,同期限内に地価税の予納がされていたことにより同賦課決定処分が違法であるとしてした同処分の取消請求につき,地価税は申告納税方式によって納付すべき税額が確定する国税であること,及び納税申告は納税義務を確定させることを主たる目的とする課税標準及び税額等の申告であって,申告書の提出によってする要式行為であることは明らかであることから,納税者が前記期限内に,平成7年分の地価税と記載のある納付書によって,地価税を納付したことをもってしても,前記地価税について,前記期限内に申告があったと評価することはできず,また,同人が,前記期限後に前記申告書を提出したことをもってしても,前記地価税について,前記予納をした日にさかのぼって確定したと評価することはできないとして,前記請求を棄却した事例 2 国税通則法66条3項所定の「調査があつたことにより当該国税について更正又は決定があるべきことを予知してされたものでないとき」とは,税務職員がその申告に係る国税についての調査に着手して無申告が不適正であることを発見するに足るかあるいはその端緒となる資料を発見し,これによりその後の調査が進行して納税者がやがて決定に至るべきことを認識した上で期限後申告を決意して期限後申告書を提出したものではない場合を指すものというべきであり,また,同条項の「調査」とは,課税庁が行う課税標準等又は税額等を認定するに至る一連の判断過程の一切を意味するものであり,課税庁の証拠書類の収集,証拠の評価あるいは経験則を通じての課税要件事実の認定,租税法その他の法令の解釈適用を経て決定に至るまでの思考,判断を含む包括的な概念を意味すると解すべきである。

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