裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成5(行ウ)43
- 事件名
所得税更正処分取消請求事件
- 裁判年月日
平成9年3月21日
- 裁判所名
東京地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 土地等の譲渡所得に関し,所得税法64条2項の特例の適用を受ける旨の記載がない所得税の確定申告書が提出された後に,租税特別措置法(平成3年法律第16号による改正前)37条の2第2項により提出された前記譲渡所得についての修正申告書に前記特例の適用を受ける旨の記載がされていた場合において,前記特例を適用せずにした所得税の更正の一部取消請求が棄却された事例 2 合資会社の無限責任社員が商法147条,80条に基づき会社の債務を履行した場合における所得税法64条2項の特例の適用の可否
- 裁判要旨
1 土地等の譲渡所得に関し,所得税法64条2項の特例の適用を受ける旨の記載がない所得税の確定申告書が提出された後に,租税特別措置法(平成3年法律第16号による改正前)37条の2第2項により提出された前記譲渡所得についての修正申告書に前記特例の適用を受ける旨の記載がされていた場合において,前記特例を適用せずにした所得税の更正の一部取消請求につき,確定申告書に前記特例の適用を受ける旨の記載はなく,また,同法(昭和62年法律第96号による改正前)37条4項により買換資産の取得価額の見積額を基礎に買換えの特例を適用して譲渡所得の計算を行い修正申告等を行うことにより,前記見積額と実際の取得価額との開差に係る税額を清算する場合でも,譲渡収入のうちに保証債務の履行に当てられその求償権の行使ができないこととなったものがあれば,前記見積額を基礎に計算された譲渡所得の金額を前提に前記所得税法64条2項の特例を適用して所得金額の計算を行い,確定申告書に前記特例の適用を受ける旨の記載をし,又は所得税法152条の定める期間内に更正の請求をすることができるのであって,買換資産の取得価額が未定のため譲渡所得の金額が確定していないとしても,そのことは前記特例の適用を受けることの障害になるものではないから,租税特別措置法(平成3年法律第16号による改正前)37条の2第2項による修正申告が行われるまで所得税法152条の定める前記特例の適用を受けるための更正の請求の期間が延長されるとする主張は失当であり,前記修正申告をもって同条による更正の請求とみたとしても,同条所定の期限を徒過してされたものであるから,前記特例の適用を受けるための手続要件を具備しているとはいえないなどとして,前記請求を棄却した事例 2 合資会社の無限責任社員が商法147条,80条に基づき会社の債務を履行した場合も,債務の履行を余儀なくされ,その結果,求償権を取得するという点では,保証人が保証債務を履行した場合と同様であるから,所得税法64条2項に定める特例の適用があると解すべきである。
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