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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成5(行ウ)70

事件名

 公売通知等取消請求,売却決定等取消請求事件

裁判年月日

 平成6年2月28日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 国税徴収法104条に基づく最高価申込者の決定の行政処分性 2 国税徴収法98条に基づく公売財産の見積価額の決定と同法104条に基づく最高価申込者の決定との間の違法性の承継 3 国税徴収法98条に基づく公売財産の見積価額の決定の違法をその後にされる換価代金等の配当の違法事由として主張することの可否 4 国税徴収法98条に基づく公売財産の見積価額の決定が違法であるとしてされた同法104条に基づく最高価申込者の決定の取消請求が棄却された事例

裁判要旨

 1 国税徴収法は,滞納処分のうち公売手続と売却決定手続とを区別し,同法104条に基づく最高価申込者の決定を公売手続の最終段階の行為と位置付けているものと解され,同決定は,それを受ける者に売却決定を受け得る法的地位を付与するものといい得るから,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。 2 国税徴収法98条に基づく公売財産の見積価額の決定と同法104条に基づく最高価申込者の決定は,いずれも公売財産を売却して国税債権の満足を得ることを目的とする滞納処分の手続の一環としてされる処分であり,両者は相結合して,滞納処分のうちの公売手続を完結し売却許可を可能にするという一つの法律効果の発生を目指しているものということができるから,前記の公売財産の見積価額の決定に違法がある場合には,その違法は,前記の最高価申込者の決定に承継され得る。 3 国税徴収法171条1項は不服申立ての期限の特例を定めて滞納処分手続の安定を図り,買受人等の権利,利益を保護しようとするものであると解することができることなどを考慮すると,訴訟段階においても,同法98条に基づく公売財産の見積価額の決定に違法があったとしても,その違法は,同法171条1項3号所定の不服申立期限である買受代金の納付期限までに主張しなければならないと解すべきであるから,その後にされる配当の違法事由として前記決定の違法を主張する余地はない。 4 国税徴収法98条に基づく公売財産の見積価額の決定が違法であるとしてされた同法104条に基づく最高価申込者の決定の取消請求につき,公売に付された土地の上の温泉井戸は事実上無価値なものと認められるので同土地を鉱泉地ではなく雑種地と評価したことは相当であり,また,その評価額も適正であるというべきであるから,前記の公売財産の見積価額の決定は適法であるとして,前記取消請求が棄却された事例

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