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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成2(行ウ)81

事件名

 即位の礼・大嘗祭国費支出差止等請求,国費支出差止等請求事件

裁判年月日

 平成4年11月24日

裁判所名

 大阪地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 即位の礼及び大嘗祭に係る諸儀式等のうち,即位礼正殿の儀及び大嘗宮の儀等のために国費を支出することの差止めを求める訴えが,不適法であるとされた事例 2 即位の礼及び大嘗祭に係る諸儀式等のうち,即位礼正殿の儀及び大嘗宮の儀等を国費により執行することが違憲であることの確認を求める訴えが不適法であるとされた事例 3 即位の礼及び大嘗祭に係る諸儀式等のうち,即位礼正殿の儀及び大嘗宮の儀等を国費により執行することが違憲であり,主権者たる国民としての権利を侵害するものであるとして提起された損害賠償請求が,棄却された事例

裁判要旨

 1 即位の礼及び大嘗祭に係る諸儀式等のうち,即位礼正殿の儀及び大嘗宮の儀等のために国費を支出することの差止めを求める訴えについて,差止請求訴訟はその性質上行為の未了を要件としているのであるから,当該諸儀式・行事の執行が既に終了し,当該差止めの対象とされている国費支出行為が完了している以上,前記国費支出の差止めを求める訴えは,不適法であるとされた事例 2 即位の礼及び大嘗祭に係る諸儀式等のうち,即位礼正殿の儀及び大嘗宮の儀等を国費により執行することが違憲であることの確認を求める訴えについて,我が国においては,主権者たる国民の地位や納税者としての地位に基づいて,国に対し国の行う具体的な国政行為の是正等を求める訴訟を提起する方法は制度として認められておらず,また,前記訴えは抽象的,一般的に当該諸儀式・行事の違憲確認を求めているにすぎないものであるところ,現行法制度の下において裁判所は具体的事件を離れて抽象的に法律命令等の合憲性を判断する権限を有していないから,前記訴えは不適法であるとされた事例 3 即位の礼及び大嘗祭に係る諸儀式等のうち,即位礼正殿の儀及び大嘗宮の儀等を国費により執行することが違憲であり,主権者たる国民としての権利を侵害するものであるとして提起された損害賠償請求について,仮に,当該国費の支出により,国民らが,自己の意思に反して,国事行為ないし公的性格を有する前記諸儀式等の執行に加担させられ,そのことにより従属的,臣下的地位を強制され,人格的尊厳を傷つけられたと考えたとしても,それは自己の見解と相反することに国費が支出されたり,国事行為や公的な皇室行事が行われたことに対する憤怒の情や不快感などといったものであって,損害賠償により法的保護を与えなければならない利益には当たらないとして,前記請求が棄却された事例

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