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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成3(行コ)134

事件名

 法人税更正処分等取消請求控訴事件

裁判年月日

 平成4年9月24日

裁判所名

 東京高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 法人のする債権の放棄,免除等と法人税法37条6項にいう「金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与」 2 鉄鋼等の取引を営む会社である法人がその関連会社に対して売り渡した商品の売上代金の一部を値引きした行為が,業績の悪化していた当該関連会社に対する援助措置として行われた経済的利益の無償供与の性質を有し,法人税法37条所定の寄付金に該当するとされた事例

裁判要旨

 1 法人税法37条は,いわゆる営業経費として支出されるものを除いて,法人のする第三者のための債権の放棄,免除や経済的利益の無償の供与については,その価額を寄付金として扱うべきものとしているのであるが,法人が債権の回収が不能であるためにこれを放棄する場合,法人が損失の負担をしなければ,その者との密接な関係からして逆により大きな損失を被ることが明らかであるためにやむを得ずその負担を行うといった場合その他その経済的利益の供与につき経済取引として十分首肯し得る合理的理由がある場合には,実質的には,これによって相手方に経済的利益を無償で供与したものとはいえないからこれを同条所定の寄付金として扱うことは相当でない。 2 鉄鋼等の取引を営む会社である法人がその関連会社に対して売り渡した商品の売上代金の一部を値引きした行為が,その時点で当該法人が売上値引きを行わなければ,当該法人の死活にかかわるような経営,信用の危機に陥る切迫したおそれが明らかに存したとまでは到底認められず,また当該売上値引きにつき経済取引として十分首肯し得る合理的理由があったとも認められず,しかもその売上値引分に相当する売掛債権の回収が不能な状況にまでなっていたものではないから,業績の悪化していた当該関連会社に対する援助措置として行われた経済的利益の無償供与の性質を有し,法人税法37条所定の寄付金に該当するとされた事例

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