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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成15(行ウ)427

事件名

 更正すべき理由がない旨の通知処分取消請求事件

裁判年月日

 平成17年12月16日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 米国法人の子会社である日本法人の取締役が親会社である米国法人から付与されていた同法人の譲渡制限株式の譲渡制限が解除されたことにより受けた利益が所得税法28条1項所定の給与所得に当たるとされた事例 2 米国法人の子会社である日本法人の取締役が親会社である米国法人から付与されていた同法人の譲渡制限株式(いわゆるリストリクテッド・ストック)の譲渡制限が解除されたことにより受けた利益に係る所得の帰属年分は,同制限解除の年分であるとされた事例

裁判要旨

 1 米国法人の子会社である日本法人の取締役が,親会社である米国法人から同法人の株式を,帰属確定日まで売却,入質又は移転することができず,帰属確定前に日本法人を退職した場合等には没収される等の約定の元に付与され,前記制限が解除されたことにより受けた利益について,前記米国法人は,前記取締役が勤務する日本法人の発行済全株式を保有してその役員の人事権等の実権を握ってこれを支配しているものとみることができ,前記株式は,米国法人グループにおける会社分割の遂行上,幹部役員等に対する精勤の動機付けとすることなどを企図して付与されたものであり,米国法人は,前記取締役が職務を遂行しているからこそ,同人との間で前記株式の付与契約を締結して同株式を付与し,その譲渡制限を所定の時期に解除したものであって,前記利益が職務を遂行したことに対する対価としての性質を有する経済的利益であることは明らかであるとして,前記利益は,雇用契約又はこれに類する原因に基づき提供された非独立的な労務の対価として給付されたものとして,所得税法28条1項所定の給与所得に当たるとした事例 2 米国法人の子会社である日本法人の取締役が,親会社である米国法人から付与されていた同法人の譲渡制限株式(いわゆるリストリクテッド・ストック)の譲渡制限が解除されたことにより受けた利益に係る所得の帰属年分につき,制限解除に至るまでの同人は,形式上米国法人の株主であるとはされているものの,その保有する株式を処分することも,株式買取請求権等の行使によって株式の処分に替えてその価値を取得することもおよそ不可能な状況に置かれていたものというべきであるから,このような時点において,株式の経済的価値を取得するに至ったと評価することはできず,むしろ,前記制限株式に係る経済的利益の取得は,制限解除によって初めて現実化したものであるとして,前記利益に係る所得の帰属年分は,同制限解除の年分であると解すべきであるとした事例

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