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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成17(行ウ)43

事件名

 都税還付加算金還付請求事件

裁判年月日

 平成18年7月14日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 先行して税務署長から法人税の決定処分を受けた法人が,都税事務所長に対し,都民税の確定申告書を提出し,その納付をした後に,前記税務署長が,前記法人税について減額更正をしたことにより,前記都税事務所長が,都民税の法人税割額についても,前記更正された法人税の税額を課税標準とした減額更正をした場合において,同更正に基づいて生じた都民税及びこれに対する延滞金の過納金の還付の際に付す還付加算金の起算日は,地方税法17条の4第1項1号に規定する「納付の日の翌日」と解すべきであるとされた事例 
2 先行して税務署長から法人税の決定処分を受けたドイツ連邦共和国法人が,都税事務所長に対し,自己の事業が保険業である旨及び事業税の課税標準として収入金額を記載した事業税の確定申告書を提出し,その納付をした後,日独租税条約に基づく相互協議において,前記法人の事業は,事業税において,収入金額を課税標準とする損害保険事業ではなく,所得を課税標準とする事業であることなどが合意されたことにより,前記都税事務所長が,事業税について所得を課税標準とする減額更正をした場合において,同更正に基づいて生じた事業税及びこれに対する延滞金の過納金の還付に際に付す還付加算金の起算日は,地方税法17条の4第1項4号及び同法施行令6条の15第1項1号に定める「減額更正があった日の翌日から起算して1か月を経過する日の翌日」であるとされた事例

裁判要旨

 1 先行して税務署長から法人税の決定処分を受けた法人が,都税事務所長に対し,都民税の確定申告書を提出し,その納付をした後に,前記税務署長が,前記法人税について減額更正をしたことにより,前記都税事務所長が,都民税の法人税割額についても,前記更正された法人税の税額を課税標準とした減額更正をした場合において,同更正に基づいて生じた都民税及びこれに対する延滞金の過納金の還付の際に付す還付加算金の起算日につき,都民税の法人税割の課税標準である法人税額は,前記法人税決定処分において権限ある国税官署により一応有効に確定された状態にあり,前記法人がこれに従った都民税の申告納付を行えば,前記都税事務所長はこれを是認し,前記法人がその申告納付を行わなければ,同都税事務所長が,前記法人税額に従った都民税の決定を行うことが当然に予想され,それ以外の課税処分を行うことや,何らの課税処分を行わないなどの事態はおよそ予定されていなかったことからすれば,都民税の申告納付が明文で義務付けられている場合に該当しない場合であっても,少なくとも還付加算金の計算期間の起算点との関係では,前記法人は前記法人税決定処分に従った都民税の申告納付を義務付けられた状況に置かれていた場合と同視するのが相当であり,前記申告をしたことについて,前記法人が自身の責任で任意で行ったとみるべきではないから,地方税法17条の4第1項の適用上,前記申告は,同法(平成18年法律第7号による改正前)53条28項又は同法(前記改正前)321条の8第28項の規定による義務的修正申告によって申告書を提出した場合と同視し,同法17条の4第1項1号を適用するのが相当であるとして,還付加算金の起算日は,同号に規定する「納付の日の翌日」と解すべきであるとした事例 
2 先行して税務署長から法人税の決定処分を受けたドイツ連邦共和国法人が,都税事務所長に対し,自己の事業が保険業である旨及び事業税の課税標準として収入金額を記載した事業税の確定申告書を提出し,その納付をした後,日独租税条約に基づく相互協議において,前記法人の事業は,事業税において,収入金額を課税標準とする損害保険事業ではなく,所得を課税標準とする事業であることなどが合意されたことにより,前記都税事務所長が,事業税について所得を課税標準とする減額更正をした場合において,同更正に基づいて生じた事業税及びこれに対する延滞金の過納金の還付に際に付す還付加算金の起算日につき,前記法人は自ら「収入金額」を課税標準として事業税の税額計算を行っているから,前記申告は「所得」を課税標準とする前記法人税決定処分の内容に従ったものとはいえず,前記法人がそれを義務付けられていた状況にあったともいえないことなどからすれば,地方税法17条の4第1項との関係において,前記申告は,同法(平成15年法律第9号による改正前)72条の33第3項の規定による修正申告書を提出した場合と同視するだけの前提を欠き,同法17条の4第1項4号及び同法施行令(昭和25年政令第245号)6条の15第1項1号が適用される場合であるといわざるを得ないとして,還付加算金の起算日は,「減額更正があった日の翌日から起算して1か月を経過する日の翌日」であるとした事例

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