裁判例検索

裁判例結果詳細

行政事件 裁判例集

事件番号

 平成18(行ウ)386

事件名

 所得税更正処分取消等請求事件

裁判年月日

 平成18年12月22日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 資産を収用され補償金の支払を受けた者が,同補償金につき租税特別措置法(平成16年法律第14号による改正前)33条の4第1項に基づく収用交換等の場合の譲渡所得等の特別控除の適用があるとして所得税の確定申告をしたところ,前記資産の譲渡は公共事業施行者から最初に買取り等の申出があった日から6か月を経過した後に行われたものであるから,前記補償金については前記特別控除の適用がないとしてされた所得税の更正処分及び過少申告加算税賦課決定が,適法とされた事例

裁判要旨

 資産を収用され補償金の支払を受けた者が,同補償金につき租税特別措置法(平成16年法律第14号による改正前)33条の4第1項に基づく収用交換等の場合の譲渡所得等の特別控除の適用があるとして所得税の確定申告をしたところ,前記資産の譲渡は公共事業施行者から最初に買取り等の申出があった日から6か月を経過した後に行われたものであるから,前記補償金については前記特別控除の適用がないとしてされた所得税の更正処分及び過少申告加算税賦課決定につき,同条第3項1号が,前記6か月を経過した日までに譲渡がされなかった場合に前記特別控除を適用しないとしたのは,公共事業施行者の事業遂行を円滑かつ容易にするためその申出に応じて資産の早期譲渡に協力した者についてのみ,その補償金等に対する所得税につき特別の優遇措置を講じ,もって公共事業用地の取得の円滑化を図る趣旨であると解されることに照らすと,同号の「最初に買取り等の申出があった日」とは,公共事業施行者が資産の所有者に対し,買取り資産を特定し,その対価を明示して,買取り等の意思表示を初めてした日をいい,最終的に確定した買収価格が明示された日をいうものではないと解すべきであり,また,同号に規定する「収用交換等による譲渡のあった日」とは,収用裁決において定められた権利取得の時期又は明渡しの期限と定められた日と解するのが相当であるとした上,前記資産についての「最初に買取り等の申出があった日」から6か月を経過する日までに前記資産の譲渡をしていないから,前記補償金については,前記特別控除の適用はないとして,前記各処分をいずれも適法とした事例

全文