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行政事件 裁判例集

事件番号

 昭和60(行コ)14

事件名

 課税処分取消請求控訴事件(原審・静岡地方裁判所昭和56年(行ウ)第17号)

裁判年月日

 昭和60年12月17日

裁判所名

 東京高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 所得税法59条2項にいう「対価」には,負担付贈与における負担が含まれるか 
2 甲が乙に対して土地を譲渡し,乙が甲の第三者に対する債務を代わって弁済する旨の負担付贈与契約に基づく土地の譲渡につき,右契約により甲が乙に対して右債務を消滅させるベき旨を請求し得る権利を取得することは,所得税法36条1項,2項にいう経済的な利益をもって収入する場合に当たり,かつ,右土地の譲渡は同法59条2項所定の個人に対するいわゆる低額譲渡ではあるが,収入すベき経済的な利益の額に相当する右債務額が,同項所定の右土地の譲渡に係る譲渡所得の計算上控除すベき取得費及び譲渡費用の合計額に満たないときには当たらない場合であるから,同法60条1項2号の適用はなく,甲の収入すベき経済的な利益の額と右土地の取得費及び譲渡費用との差額が右土地の譲渡による所得として課税の対象となるとされた事例

裁判要旨

 1 所得税法59条2項にいう「対価」とは,私法上の有償契約におけるような資産の譲渡と対価関係に立つ給付に限られず,資産の譲渡に起因しそれと因果関係のある給付であれば足り,無償契約に属する負担付贈与における負担も,それが経済的な利益に当たるものである限りは,右にいう対価に含まれる。

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