裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
昭和56(行コ)28
- 事件名
所得税更正決定等取消請求控訴事件(原審・大阪地方裁判所昭和41年(行ウ)第87号)
- 裁判年月日
昭和62年9月30日
- 裁判所名
大阪高等裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 いわゆる推計課税による課税処分の取消訴訟において,納税者が所得の実額を主張する場合に必要とされる実額の立証の程度
2 土建材料等の販売業者の所得金額を,純資産増減法により推計してした所得税の更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分が,適法とされた事例
- 裁判要旨
1 推計課税は,納税者が実額を算定するに足りる帳簿書類などの直接資料を提出せず税務調査に協力しないため,やむを得ず真実の所得額に近似した額を間接資料により推計し,これをもって真実の所得額と認定する方法であり,実額課税と同様に真実の所得額を認定するための一つの方法であって,課税庁において推計課税の合理性につき立証した場合には,特段の反証のない限り,推計課税の方法により算定された額をもって真実の所得額であると認定するのであるから,納税者が,推計課税取消訴訟において,所得の実額を主張し,推計課税の方法により認定された額が実額と異なるとして推計課税の違法性を立証するためには,その主張する実額が真実の所得額に合致することを合理的な疑いを入れない程度に立証する必要があると解すベきであって,実額の存在をある程度合理的に推測させるに足りる具体的事実を立証すれば足りると解すベきものではない。
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