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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成19(行コ)422

事件名

 所得税返還請求控訴事件(原審・さいたま地方裁判所平成19年(行ウ)第15号)

裁判年月日

 平成20年4月23日

裁判所名

 東京高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 米国法人販売の投資商品を取得するため国内の取扱銀行に支払った為替手数料を,同投資商品に係る雑所得の金額の計算上必要経費に算入しないでされた所得税の決定処分及び無申告加算税賦課決定処分等の各取消請求が,いずれも棄却された事例

裁判要旨

 米国法人販売の投資商品を取得するため国内の取扱銀行に支払った為替手数料を,同投資商品に係る雑所得の金額の計算上必要経費に算入しないでされた所得税の決定処分及び無申告加算税賦課決定処分等の各取消請求につき,所得税法37条1項所定の「費用」は,企業会計における概念として,一般的に収益を獲得するための価値犠牲分を意味するとされ,他方,所得税法上の資産の取得価額に含まれるべき支出は,いまだその価値を犠牲にされたとはいえず,これらの所得の金額の計算上必要経費に算入されないところ,米ドルを購入する際に用いられた対顧客電信売相場(以下「TTS」という。)とTTSを決定するための基準になる相場(TTM)の差額は,金融機関の手数料としての性格を有するものの,前記差額相当額は,各年に前記投資商品を取得するための外貨を購入する際に支払ったもので,前記投資商品という所得税法上の資産を取得する際に支払った円貨による代価の一部として,資産の取得価額に含まれるべき性質の支出といえるのであり,前記投資商品が売却されるなどして,その交換価値が収入として認識されたときに初めて費用として認識され得べきものであって,前記投資商品から生ずる前記受取利息という収益を獲得するために,支出された前記差額相当額の価値が犠牲にされたものとはいえず,前記受取利息を得るのに直接要した費用に当たらないから,これを必要経費に算入せずにした前記各処分はいずれも適法であるとして,前記各請求をいずれも棄却した事例

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