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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成19(行コ)148

事件名

 法人税更正処分取消等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成16年(行ウ)第170号)

裁判年月日

 平成19年11月1日

裁判所名

 東京高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 内国法人のシンガポール共和国における子会社である外国法人が,租税特別措置法(平成12年法律第97号による改正前)66条の6第1項所定の特定外国子会社等に当たるとして,前記内国法人の所得の計算上,同項に規定する課税対象留保金額に相当する金額を益金の額に算入してされた法人税の更正処分及び過少申告課税額の賦課決定処分が,適法とされた事例

裁判要旨

 内国法人のシンガポール共和国における子会社である外国法人が,租税特別措置法(平成12年法律第97号による改正前,以下「措置法」という。)66条の6第1項所定の特定外国子会社等に当たるとして,前記内国法人の所得の計算上,同項に規定する課税対象留保金額に相当する金額を益金の額に算入してされた法人税の更正処分及び過少申告課税額の賦課決定処分につき,同条は,特定外国子会社等の所得の一部を,その親会社である内国法人の収益の額とみなして課税するものであるところ,同条1項は,みなし課税の対象となる海外子会社を,内国親会社による一定以上の株式等の支配関係にある特定外国子会社等に,みなし課税の対象とする海外子会社の未処分所得を,その留保された金額のうち内国親会社が支配する株式等に対応する金額(課税対象留保金額)のみにそれぞれ限定しており,同条3項は,特定外国子会社等が独立企業としての実体を備え,かつ,その所在地国で事業活動を行うことについて十分な経済的合理性がある場合に同条1項を適用しないこととしているから,同項の要件を満たし,同条3項の適用除外要件を満たさない事案においては,海外子会社の未処分所得のうちの課税対象留保金額は,本来,内国親会社に対して配当その他の方法によって利益移転されるべきものであって,利益移転がされた場合には,我が国において親会社の収益そのものとして課税されることになるのであるから,その利益移転がされていない場合には,租税回避の防止の観点から,本来あるべき利益移転が実際にあったものとみなして,我が国が親会社に対して課税することは,所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とシンガポール共和国政府との間の協定(いわゆる日星租税条約)7条1項の趣旨を潜脱することにはならないとした上,前記外国法人は措置法66条の6第1項所定の要件を満たし,同条3項所定の適用除外要件を満たさないとして,前記各処分を適法とした事例

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