裁判例検索

裁判例結果詳細

行政事件 裁判例集

事件番号

 平成19(行ケ)5

事件名

 審決取消請求事件

裁判年月日

 平成20年5月23日

裁判所名

 東京高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 公正取引委員会が輸入業者が輸入した商品を購入し,一般消費者に販売していた衣料品の小売業等を営む事業者に対し,不当景品類及び不当表示防止法(平成17年法律第35号による改正前)4条1項所定の「事業者」に当たるとして排除措置命令を命じた審決の取消請求が,棄却された事例
2 不当景品類及び不当表示防止法(平成17年法律第35号による改正前)4条1項に違反する不当表示行為の成否と不当表示を行った者の故意又は過失の要否

裁判要旨

 1 公正取引委員会が輸入業者が輸入した商品を購入し,一般消費者に販売していた衣料品の小売業等を営む事業者に対し,不当景品類及び不当表示防止法(平成17年法律第35号による改正前)4条1項所定の「事業者」に当たるとして排除措置命令を命じた審決の取消請求につき,公正な競争を確保し,一般消費者の利益を保護するという同法の目的やそのために排除命令を定める同法の趣旨に照らすと,同法4条1項所定の「事業者」とは,「表示内容の決定に関与した事業者」をいうものと解すべきであり,「表示内容の決定に関与した事業者」には「自ら若しくは他の者と共同して積極的に表示の内容を決定した事業者」のみならず,「他の者の表示内容に関する説明に基づきその内容を定めた事業者」や「他の事業者にその決定を委ねた事業者」も含まれるものと解され,前記「他の者の表示内容に関する説明に基づきその内容を定めた事業者」とは,他の事業者が決定したあるいは決定する表示内容についてその事業者から説明を受けてこれを了承しその表示を自己の表示とすることを了解した事業者をいい,また前記「他の事業者にその決定を委ねた事業者」とは,自己が表示内容を決定することができるにもかかわらず他の事業者に表示内容の決定を任せた事業者をいうと解されるところ,前記事業者は,輸入業者から,商品の原産国がイタリアであるとの口頭の説明を受けてこれを信用し,同輸入業者に作成及び取付けを依頼した品質表示タッグ及び下げ札に商品の原産国がイタリアであると記載されることを了解していたこと,同商品を自己が経営するセレクトショップにおいて販売していたことから,前記事業者は,前記「表示内容の決定に関与した事業者」すなわち「他の者の表示内容に関する説明に基づきその内容を定めた事業者」に当たるなどとして,前記請求を棄却した事例
2 不当景品類及び不当表示防止法の目的は,公正な競争を確保し,もって一般消費者の利益を保護することにあり,排除命令は,同法の趣旨及び目的に従い,一般消費者の利益を保護するために行われるものであって,対象事業者に対する非難可能性を基礎とする民事上,刑事上の制裁とはその性質を異にするものであるから,同法(平成17年法律第35号による改正前)4条1項に違反する不当表示行為については,不当表示行為すなわち違反行為があれば成立し,それ以上に,そのことについて不当表示を行った者の故意又は過失を要しない。

全文