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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成21(行コ)285

事件名

 所得税更正処分取消等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成20年(行ウ)第566号)

裁判年月日

 平成22年4月21日

裁判所名

 東京高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 自宅として居住していた所有土地建物を売却し,1棟のマンション中に存する2つの区分建物を取得した者が,同各区分建物が一体として買換特例制度の適用を受けるものとして確定申告をしたところ,租税特別措置法(平成19年法律第6号による改正前)36条の6第1項所定の一方の区分建物は同制度の適用を受けないとしてされた更正処分の取消請求が,棄却された事例

裁判要旨

 自宅として居住していた所有土地建物を売却し,1棟のマンション中に存する2つの区分建物を取得した者が,同各区分建物が一体として買換特例制度の適用を受けるものとして確定申告をしたところ,租税特別措置法(平成19年法律第6号による改正前)36条の6第1項所定の一方の区分建物は同制度の適用を受けないとしてされた更正処分の取消請求につき,同条及び同条に基づく同法施行令の規定は,不動産の価格高騰等の弊害を防止しつつ,住み替えによる居住水準の向上等を図るという住宅政策上の観点から,建物の構造,機能,規模等の客観的状況に着目して,税制上の優遇措置を受け得る特例制度の適用範囲を限界付けているということができ,このような制度の枠組みからすると,取得建物について買換特例制度の適用範囲の限界を画する要件としての「家屋」の個数は,建物の客観的な状況を重視し,建物の構造,機能,規模,間取り,設備,各建物間の距離などにより物理的に独立した建物であるかどうかの観点から判断されるべきものであり,物理的に独立した複数の建物であっても,そこに居住する家族の構成,生活状況,建物の使用状況を踏まえて各建物の客観的な状況を検討した場合に各建物を併せてはじめて「一の家屋」としての機能を果たしていると判断できるときには,「一の家屋」と解する余地があるというべきであるとした上,前記各区分建物は,それぞれが物理的に独立した複数の建物であり,前記各区分建物に居住する者らとの間に一定の頻度で生活の支援や交流があるとしても,建物管理,生活上の費用負担等が前記各区分建物ごとに行われていること等からすると,前記各区分建物は両室を併せてはじめて「一の家屋」としての機能を果たしていると判断することはできないとして,前記請求を棄却した事例

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