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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成25(行コ)20

事件名

 過料処分取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成23年(行ウ)第241号)

裁判年月日

 平成25年10月31日

裁判所名

 東京高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 反社会的団体(無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律5条1項に規定する観察処分を受けた団体のこと)に対して所定事項につき報告する義務を課し,その義務を懈怠した場合につき過料に処することなどを定める足立区反社会的団体の規制に関する条例(平成22年足立区条例第44号)の規定と憲法20条1項
2 足立区反社会的団体の規制に関する条例(平成22年足立区条例第44号)5条2項が定める報告を正当な理由がないのに拒んだとして,同条例10条に基づき過料に処する旨の処分を受けた宗教団体がした前記処分の取消請求が,認容された事例

裁判要旨

 1 反社会的団体(無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律5条1項に規定する観察処分を受けた団体のこと)に対して所定事項につき報告する義務を課し,その義務を懈怠した場合につき過料に処することなどを定める足立区反社会的団体の規制に関する条例(平成22年足立区条例第44号)の規定は, [1]同条例の目的は正当であり,反社会的団体の活動に対する規制の必要性は高く,[2]報告を求められる事項は,いずれも個人の信仰など内心の自由に関するものは含まれておらず,当該団体が宗教団体である場合であっても,専ら世俗的側面における活動状況・実態を把握するためのものであり,当該団体又はその構成員の宗教的活動の中核的部分に関する事項を規制したり,構成員の精神的・宗教的な側面に容かいするような性質のものではなく,[3]同条例5条2項に定める報告義務に関する規定は不明確とはいえず,同条例の規制により当該団体の施設の所在地が町名まで明らかにされても,規制の目的に照らして相当を欠くとまではいえず,また,手続保障も十分に図られているということができるから,同条例による規制手段と規制目的との間には合理的関連性があり,かつ,規制によって得られる利益と失われる利益とを衡量しても相当であるから,憲法20条1項に違反しない。
2 足立区反社会的団体の規制に関する条例(平成22年足立区条例第44号)5条2項が定める報告を正当な理由がないのに拒んだとして,同条例10条に基づき過料に処する旨の処分を受けた宗教団体がした前記処分の取消請求につき,前記宗教団体において,前記報告をすることにより,前記条例及び足立区反社会的団体の規制に関する条例施行規則(平成22年足立区規則第72号)の規定に基づき,その報告内容が区ホームページ上で公表される結果,前記宗教団体の施設の所在地を不特定多数の者が容易に知ることが可能となり,前記宗教団体及びその構成員等の生命,身体,財産をはじめとする基本的人権を含む諸権利が重大に損なわれる恐れが払拭できないとの懸念を抱いたというのも無理からぬことであったと認められるから,前記宗教団体が前記報告を拒んだことについては,正当な理由なく報告を拒んだときに該当せず,前記処分はその処分要件を欠く違法なものであるとして,前記請求を認容した事例

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