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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成25(行ウ)561

事件名

 税理士懲戒処分取消請求事件

裁判年月日

 平成26年9月30日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 税理士であった原告が委嘱者である納税者の所得税の期限後申告並びに確定申告に当たり所得金額を不正に計算した確定申告書等を作成した行為が税理士法(平成26年法律第10号による改正前のもの)45条1項に定める違反行為に当たると認められた事例
2 税理士であった原告が税理士法(平成26年法律第10号による改正前のもの)45条1項に定める違反行為をしたとしてされた税理士業務の禁止の懲戒処分が適法とされた事例

裁判要旨

 1 税理士であった原告が,委嘱者の3年分の所得税の期限後申告及び確定申告に当たり,委嘱者である納税者から提出を受けた不十分な資料に記載された売上金額よりも実際の売上金額が多額である可能性があり,また,3年分の納税額が合計1000万円以下になることはないと思っていたにもかかわらず,委嘱者の依頼により合計1000万円以下となるように当該資料に記載された売上金額の5割相当額を申告上の売上金額とし,その3割相当額を所得金額として各確定申告書及び各収支内訳書に記載したことなど判示の事情の下においては,「故意に,真正の事実に反して税務代理若しくは税務書類の作成をした」(税理士法(平成26年法律第10号による改正前のもの)45条1項)と認められる。
2 税理士であった原告が作成した委嘱者である納税者の3年分の所得税に係る確定申告書の中には,委嘱者から提出を受けた資料に記載された所得金額が1億0505万4984円であったのに対し,所得金額を2075万6247円として申告したものがあること,原告は,委嘱者の依頼により3年分の納税額が合計1000万円以下となるように当該資料に記載された売上金額の5割相当額を申告上の売上金額とし,その3割相当額を所得金額として各確定申告書及び各収支内訳書を作成し,数千万円もの納税を委嘱者に免れさせたことからすれば,懲戒処分歴がないこと,各確定申告に際して自身の特別の利益を得ようとしたというような内心が存在することはうかがわれないことを考慮したとしても,原告が税理士法(平成26年法律第10号による改正前のもの)45条1項に定める違反行為をしたとしてされた税理士業務の禁止の懲戒処分は,社会通念上著しく妥当を欠いて裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したものとは認められず,適法である。

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