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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成25(行ウ)256

事件名

 遺族厚生年金不支給処分取消等請求事件

裁判年月日

 平成27年10月2日

裁判所名

 大阪地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 厚生年金保険の被保険者であり,老齢厚生年金及び老齢基礎年金の受給権者であった者が,いわゆる重婚的内縁関係にあった事案において,被保険者と内縁関係にあった者が,遺族厚生年金並びに国民年金法及び厚生年金保険法に基づく未支給年金の支給を受けるべき配偶者(事実上婚姻関係と同様の事情にある者)に当たるとされた事例

裁判要旨

 厚生年金保険の被保険者であり,老齢厚生年金及び老齢基礎年金の受給権者であった者が,いわゆる重婚的内縁関係にあった場合において,次の(1)~(5)など判示の事情の下では,被保険者と戸籍上の配偶者とは事実上の離婚状態にあったと認められるから,戸籍上の配偶者は,厚生年金保険法(平成24年法律第62号による改正前のもの)58条1項に規定する遺族厚生年金並びに同法37条1項及び国民年金法(平成24年法律第62号による改正前のもの)19条1項に規定する未支給年金の支給を受けることができる「配偶者」に当たらず,内縁関係にある者が上記「配偶者」に当たる。
(1) 被保険者と戸籍上の配偶者との別居期間は約6年10か月という比較的長期に及んでいた。
(2) 被保険者と戸籍上の配偶者は,別居後,婚姻関係を維持ないし修復するための努力を一切行わず,戸籍上の配偶者に至っては別居当初から離婚を望んでいた。
(3) 被保険者と戸籍上の配偶者との間に,別居後,経済的依存関係は認められなかった。
(4) 被保険者と戸籍上の配偶者の間に,別居後,一定の音信及び訪問が存在したものの,財産関係の清算を目的とするものがほとんどであり,被保険者の死亡当時はほぼ断絶状態にあった。
(5) 被保険者と内縁関係にある者が約6年7か月にわたって事実上夫婦としての共同生活を送り,その関係が相当程度安定かつ固定していた。

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