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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成29(行ウ)112

事件名

 上陸基準省令違反処分取消等請求事件

裁判年月日

 平成30年7月19日

裁判所名

 名古屋地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 平成29年法務省令第19号による改正前の「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令」(平成2年法務省令第16号。以下「上陸基準省令」という。)の表の「法別表第一の二の表の技能実習の項の下欄第1号ロに掲げる活動」の項の下欄16号の表のヲに掲げる外国人の適正な技能実習を妨げる不正行為(以下「ヲ号不正行為」という。)を行ったとの認定及び通知が,行政事件訴訟法3条2項にいう「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に当たるか。
2 原告がヲ号不正行為を行っていないことの確認を求める訴えが,確認の利益を欠き,不適法であるとされた事例

裁判要旨

 1 出入国管理及び難民認定法は,監理団体等については,技能実習生の受入れやあっせんを続けることができるという法律上の地位や法的利益を付与することなく,また,不正行為の有無を確定することを目的とする行政上の手続を設けることなく,所定の期間,新規の技能実習生の受入れ等ができない状態とすることなどによって,監理団体等を間接的に規制することとしたものにとどまるものと解され,地方入国管理局が行う不正行為の認定及び通知は,法令上の根拠を持つものではなく,関係者が,在留資格認定証明書の交付申請に先立つ準備等の関係で不利益等を受けるおそれがあることに鑑み,不正行為を行った監理団体等に対し,事前に,上陸基準省令に適合しない旨を事実上通知するにとどまるから,不正行為の認定及び通知によって何らかの法律関係を変動させたり,確定する効果が生じるものではなく,不正行為の認定及び通知は,行政事件訴訟法3条2項にいう「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に当たらない。
2 原告がヲ号不正行為を行っていないことが確認されたとしても,外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律26条所定の4号以外の欠格事由の不存在まで確定されるわけではないから,原告がヲ号不正行為を行っていないことを確認することが,監理団体としての許可に関する紛争の直接かつ抜本的な解決のために必要であるとはいえず,原告がヲ号不正行為を行っていないことを確認することを求める訴えは,確認の利益を欠く,不適法な訴えである。

【参考法令】
行政事件訴訟法3条2項,出入国管理及び難民認定法(平成28年法律第89号による改正前のもの)7条1項,外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律26条,出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令(平成29年法務省令第19号による改正前のもの),民事訴訟法134条

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