平成十五年二月二十六日最高裁判所規則第六号
下級裁判所裁判官指名諮問委員会規則を次のように定める。
下級裁判所裁判官指名諮問委員会規則
(設置)
第一条 最高裁判所に、下級裁判所裁判官指名諮問委員会(以下「委員会」という。)を置く。
(所掌事務)
第二条 委員会は、次に掲げる事務をつかさどる。
一 最高裁判所の諮問に応じて、高等裁判所長官、判事及び判事補(以下「下級裁判所裁判官」という。)として任命されるべき者を裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)第四十条第一項の規定により指名することの適否その他同項の規定による指名に関する事項を審議すること。
二 前号の規定により指名の適否について諮問に付した者(以下「指名候補者」という。)に関する情報を収集すること。
三 第一号の審議の結果に基づき、最高裁判所に意見を述べること。
(委員会への諮問)
第三条 最高裁判所は、下級裁判所裁判官として任命されるべき者として指名されることの希望を申し出た者(以下「任官希望者」という。)については、当該者を指名することの適否を委員会に諮問しなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、最高裁判所は、任官希望者を指名することの適否を委員会に諮問することを要しない。
一 判事を高等裁判所長官に指名する場合
二 任官希望者がかつて下級裁判所裁判官として任命されたことがあり、かつ、その者の免官又は転官から経過した期間が短期であるなど、諮問をする必要性が低いものとして委員会が定める場合
3 最高裁判所は、委員会に対して、指名候補者を指名することの適否の意見を述べないものとする。
(指名結果等の通知)
第四条 最高裁判所は、指名候補者について指名するか否かを決定したときは、その結果を委員会に通知する。この場合において、次のいずれかに該当するときは、その決定の理由をも委員会に通知する。
一 委員会が指名することは適当である旨の意見を述べた指名候補者を指名しなかったとき。
二 委員会が指名することは適当ではない旨の意見を述べた指名候補者を指名したとき。
三 その他最高裁判所が必要と認めるとき。
(組織)
第五条 委員会は、委員十一人で組織する。
(委員の任命)
第六条 委員は、裁判官、検察官、弁護士及び学識経験のある者のうちから、最高裁判所が任命する。
(委員の任期等)
第七条 委員の任期は、三年とする。
2 委員は、再任されることができる。
3 委員は、非常勤とする。
(委員長)
第八条 委員会に委員長を置き、委員の互選により選任する。
2 委員長は、会務を総理し、委員会を代表する。
3 委員長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。
(議事)
第九条 委員会は、委員の過半数が出席しなければ、会議を開くことができない。
2 委員会の議事は、委員で会議に出席したものの過半数で決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。
(説明の要求又は意見の聴取)
第十条 委員会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、指名候補者に対して必要な説明を求め、又は指名候補者の意見を聴くことができる。
(協力依頼)
第十一条 委員会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、裁判所、検察庁、日本弁護士連合会、弁護士会その他の団体又は個人に対して、資料の提出、説明その他の必要な協力を依頼することができる。
(地域委員会の設置)
第十二条 委員会に、地域委員会を置く。
2 地域委員会は、各高等裁判所の所在地に置く。
(地域委員会の所掌事務等)
第十三条 地域委員会は、次に掲げる事務をつかさどる。
一 指名候補者に関する情報を収集して、その取りまとめを行うこと。
二 前号の規定により取りまとめた内容を委員会に報告すること。
2 地域委員会は、前項第二号の規定により報告をするに当たっては、必要な意見を付することができる。
(地域委員会の組織)
第十四条 地域委員会は、地域委員五人で組織する。ただし、最高裁判所が必要と認める場合には、十人に達するまで地域委員の数を増加することができる。
(地域委員の任命)
第十五条 各地域委員会の地域委員は、裁判官、検察官、弁護士及び学識経験のある者であって、各地域委員会に係る高等裁判所の管轄区域内において居住し、又は執務するもののうちから、最高裁判所が任命する。
(地域委員長)
第十六条 地域委員会に地域委員長を置き、地域委員の互選により選任する。
2 第八条第二項及び第三項の規定は、地域委員長について準用する。
(準用規定)
第十七条 第七条及び第九条から第十一条までの規定は、地域委員会について準用する。
(庶務)
第十八条 委員会の庶務は、最高裁判所事務総局総務局において処理する。ただし、地域委員会に係るものについては、各地域委員会に係る高等裁判所の事務局総務課において処理する。
(雑則)
第十九条 この規則に定めるもののほか、議事の手続その他委員会の運営に関し必要な事項は、委員長が委員会に諮って定める。ただし、地域委員会に係るものについては、地域委員長が地域委員会に諮って定める。
附則
(施行期日)
1 この規則は、平成十五年五月一日から施行する。
(経過措置)
2 第三条第一項の規定は、任官希望者のうち平成十五年十月一日までに下級裁判所裁判官として任命されることを希望するものに関する諮問については、適用しない。