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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成7(行ウ)7

事件名

 損害賠償請求事件

裁判年月日

 平成12年7月14日

裁判所名

 名古屋地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 市が発注したごみ焼却場新築請負契約に関し,談合があったから,前記契約の締結及び代金の支払いが違法であり,契約は無効であるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づきされた前記談合に関与した建設業者,当時の市議会議員及び市建設局次長に対する不法行為に基づく損害賠償請求ないしは不当利得返還請求が,認容された事例

裁判要旨

 市が発注したごみ焼却場新築請負契約に関し,談合があったから,前記契約の締結及び代金の支払いが違法であり,契約は無効であるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づきされた前記談合に関与した建設業者,当時の市議会議員及び市建設局次長に対する不法行為に基づく損害賠償請求ないしは不当利得返還請求につき,前記契約に係る工事の指名競争入札の手続において,同人らの共謀によって,予定価格の漏洩と,落札予定業者及び入札額について談合行為がされた結果,前記契約が締結されたものであるところ,談合行為の結果,地方公共団体に損害を与えた者は,契約の有効,無効に関係なく,不法行為による損害賠償の責を負うべきであるから,同人らは,共同不法行為者として,市が被った損害を賠償する義務があり,また,前記契約は,指名競争入札の形式をとっているものの,指名競争入札の実質を全く有しておらず,地方自治法234条等の地方公共団体の締結する契約の公正性と経済性を確保するための契約の制限に関する法令の規定に反する違法なものであるうえ,前記契約は,当該契約を無効としなければ,契約の締結に制限を加える法令の趣旨を没却する結果となる特段の事情の認められる場合に該当するというべきであるから無効であるとし,損害については,適正な競争がされた場合の想定落札価格と現実の落札価格の差額相当額が市の被った損害額であるが,同差額相当額を立証することは極めて困難であるとして民事訴訟法248条により裁判所において相当な損害額を算定し,同人らについては共同不法行為者として,前記損害額の損害賠償義務があり,さらに,前記契約は無効であるから,前記業者は,受領した工事代金を返還する義務があるところ,工事の完成に対する正当な対価について損益相殺することができる結果,前記損害額と同額の不当利得返還義務もあるとして,前記各請求を認容した事例

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