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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和34(あ)2368

事件名

 横領、器物損壊

裁判年月日

 昭和35年12月27日

法廷名

 最高裁判所第一小法廷

裁判種別

 決定

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 刑集 第14巻14号2229頁

原審裁判所名

 仙台高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

 昭和34年11月26日

判示事項

 一 応訴して自己の所有権を主張・抗争する所為は横領罪を構成するか
二 器物損壊罪を構成する事例
三 右の場合地方公共団体(長)の告訴は適法か

裁判要旨

 一 登記簿上自己が所有名義人となつて預り保管中の不動産につき所有権移転登記手続請求の訴を提起された場合に、右不動産に対する不法領得意思の確定的発現として、右訴訟において自己の所有権を主張・抗争する所為は、不動産の横領罪を構成する。
二 土地の持分に対し貸借権の設定登記を受けた者が、すでに右土地に対し貸借権の設定を受けていた地方公共団体において、その設置かつ管理る高等学校の工程として使用していた場合に、実力をもつて工程にアパート建築現場と墨書した立札を掲げ、巾六間長さ約二〇間の範囲で二箇所にわたり地中に杭を打込み板付けをして、もつて保健体育の授業その他生徒の課外活動に支障を生ぜしめたときは、器物損壊罪を構成する。
三 右の場合、告訴権者は地方公共団体に設けられている教育委員会であるが、地方公共団体(長)も適法な告訴権を有する。

参照法条

 刑法252条,刑法261条,教育委員会法(昭和31年9月30日廃止前のもの)48条,教育委員会法(昭和31年9月30日廃止前のもの)49条,地方教育行政の組織及び運営に関する法律23条,地方教育行政の組織及び運営に関する法律24条,地方教育行政の組織及び運営に関する法律28条,地方教育行政の組織及び運営に関する法律30条

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