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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和23(れ)1459

事件名

 日本銀行券預入令の特例の件違反

裁判年月日

 昭和24年2月8日

法廷名

 最高裁判所第三小法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 刑集 第3巻2号90頁

原審裁判所名

 福岡高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

 昭和23年7月30日

判示事項

 一 犯罪の場所についての證據説示の要否
二 日本銀行券預入令の特例の件に基く大蔵省告示所定の證紙偽造につき日本銀行券預入令の特例の件第一條所定の證紙を偽造したと判示したことの正否
三 日本銀行券證紙偽造罪について材料入手の方法の判示の要否



四 原審が第一審公判調書中の被告人の供述記載を證據として舉示しながら右供述の内容をなす公判請求書及び聴取書の記載を舉示しなかつたことの正否



五 間接正犯の場合における被用者の知情の有無と利用者の責任

裁判要旨

 一 A方二回は、本件犯行(日本銀行券預入令の特例の件違反)の一場所として説示したにすぎないものであつて罪となるべき事實ではないから、證據によつて之れを認定する必要はない。
二 日本銀行券預入令の特例の件第一條は、所論證紙の種類並に様式は大蔵大臣が之れを定める旨を規定し、同令に基く昭和二一年大蔵省告示第三〇號は證紙の種類と様式を定めているので、日本銀行券預入令の特例の件第一條所定の百圓證紙を偽造したと判示すれば、右告示第三〇號所定の百圓證紙を偽造したことを表示したものであることは明らかである。
三 偽造に要した材料は如何にして入手したかの點を判示しないからとて本件偽造罪の判示として缺くるところはない。



四 第一審公判調書によれば、裁判長は被告人に對し公判請求書の記載事實及び司法警察官の聴取書を読聞けたるところ被告人は其通り相違ないと供述した旨を記載しているが、右公判請求書記載事實並に右聴取書記載事實を記載してないことは所論の通りである。公判調書はできる限り詳細に記載することは望ましいことであるが、本件第一審公判調書についていえば、右公判請求書と右聴取書を一読すれば被告人の第一審公判における供述内容は明らかとなるのであり、且其供述内容は原判決に判示した事實と照應するものであること記録上明白であるから原判決において第一審公判調書を證據として舉示した以上は、重ねて右公判請求書並に右聴取書を舉示しないからとて採證法則の違背とはいえない。



五 假にBが情を知らなかつた爲所謂間接正犯となるとしても、被告人の爲したる正犯の本質については何等差異のあるはづはないから、Bが情を知つて居たか否かについて何等の説示をしないからとて、所論の如き判斷遺脱の違法はない。

参照法条

 舊刑訴法360條1項,日本銀行券預入令の特例の件1條,昭和21年大蔵省告示30號,刑法38條1項,刑法60條

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