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最高裁判所判例集

事件番号

 昭和29(オ)485

事件名

 無記名定期預金請求

裁判年月日

 昭和32年12月19日

法廷名

 最高裁判所第一小法廷

裁判種別

 判決

結果

 棄却

判例集等巻・号・頁

 民集 第11巻13号2278頁

原審裁判所名

 東京高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

 昭和29年5月1日

判示事項

 一 いわゆる無記名定期預金債権の性質
二 無記名定期預金の債権者の判定
三 無記名定期預金の債権者でない者が単に届出印鑑を使用してなした相殺の効力

裁判要旨

 一 いわゆる無記名定期預金債権は無記名債権でなく氏名債権に属する。
二 甲が乙に金員を交付して甲のため無記名定期預金の預入れを依頼し、よつて乙がその金員を無記名定期預金として預入れた場合、乙において右金員を横領し自己の預金としたものでない以上、その預入れにあたり、乙が、届出印鑑として乙の氏を刻した印鑑を使用し、相手方の銀行が、かねて乙を知つており、届出印鑑を判読して預金者を乙と考え、預金元帳にも乙を預金者と記載した事実があつたとしても、右無記名定期預金の債権者は乙でなく、甲と認めるのが相当である。
三 右無記名定期預金において、相手方の銀行は、無記名定期預金証書と届出印鑑を呈示した者に支払をすることにより免責される旨の特約がなされている場合、届出印鑑のみを提出した乙との間に、右無記名定期預金と乙の銀行に対する債務と相殺する旨の合意をしても、右銀行はこれによつて、甲に対する無記名定期預金払戻債務につき、免責を得るものではない。

参照法条

 民法666条,民法86条3項,民法467条1項,民法505条

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